2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12J04284
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
安浦 雅人 九州大学, 大学院システム情報科学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 味覚センサ / ベイオセンサシステム / 甘味センサ / 高感度甘味料 |
Research Abstract |
本研究は「味覚・嗅覚融合バイオセンサシステム」の実現を目指し, 「辛味センサ」「対ダメージ臭高感度匂いセンサ」の開発によりセンサシステムに使用する客観情報を拡張しつつ, 並行して行う「センサ情報統合解析手法」の開発との統合に繋げていく. 現有のセンサを用いて行ったセンサ情報統合解析手法開発の先行実験において, 現有のセンサにおける大小様々な問題が見つかり, まずは特に問題が深刻であった「甘味センサ」の改良・開発を喫緊の課題として取り組むこととした. 前年までに, 判明した問題点をもとに甘味センサの改良・開発方針を「現行甘味センサ改良」「高感度甘味料用センサ開発」と定めた. この二方針による本年度の成果として, 現行甘味センサの応答原理の一部として「膜組成中にベンゼン環は必要ではない」ことを明らかにすることが出来た. 膜組成中に含まれるカルボキシル基が甘味応答に影響を与える可能性がある事も明らかにした. また, 高感度甘味料用センサとして, 溶液中電荷の正負毎にセンサ開発を行い, 対象物質に対して高い応答を示し, かつ一定の選択性を持つセンサの開発に成功した. また並行して苦味センサの評価可能対象の拡張と応答原理解明も行った. 辛味センサ及び対ダメージ臭センサは, ともにSPR免疫センサによる測定系を用いることとし, 辛味の代表物質であるカプサイシンの抗体を用いてカプサイシン・ジヒドロカプサイシン等のカプサイシノイドの測定を行い, その検出・定量に成功した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3種の甘味センサの開発・改良を同時並行で行い, 糖類系甘味センサの応答原理の一部解明, 高感度甘味料対応型甘味センサ2種の開発・一定程度の選択性付与に成功した. 辛味の測定においても, SPR免疫センサを用いたカプサイシノイドの定量に成功した, これは同時に対ダメージ臭高感度匂いセンサに用いるSPR免疫センサの開発に向けたノウハウの収集も兼ねており, ダメージ臭の代表的な原因物質の一つであるフルフラールの抗体を作成した事と合わせて, 進展は概ね順調である. また, 味覚センサにおいて苦味センサ・渋味センサのセンサ応答と呈味物質の吸着量との関係の解明にも成功している.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の取り組みにおいて, 3種の甘味センサの開発・ 改良を行っており, 次年度も継続してこれらを行う必要がある. 特に, 高感度甘味料対応型甘味センサ2種については, 選択性の向上と対象物質応答の維持・向上を両立する必要があり, 現時点で一定程度の成功を収めている. これらを踏まえ, 今後は3腫の甘味センサ開発・改良を並行して推進する. 特に既存のセンサでは代替できない高感度甘味料対応型甘味センサ2種について, 製品化可能なレベルまで性能向上させることを目標に設定し, 甘味センサ開発に専心する.
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