2013 Fiscal Year Annual Research Report
イネ科植物の特異的なケイ酸制御機構の解明と共存する金属元素の挙動に関する研究
Project/Area Number |
12J04305
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
江藤 真由美 九州大学, 理学研究院, 特別研究員(PD)
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Keywords | ケイ素 / イネ科植物 / バイオミネラリゼーション / ケイ酸錯体 |
Research Abstract |
平成24年度より引き続き申請者は、イネ科植物によるケイ酸の特異的な重合抑制メカニズムの解明と特異的に濃縮されるケイ酸と金属元素間の相互作用の有無に関して研究を行った。本年度では、まず「ケイ酸の重合抑制メカニズムの解明」に関して、炭酸水素イオンとケイ酸の溶液中での相互作用について実験を行った。次に、「イネ科植物中でのプラントオパール形成に与える金属イオンの影響」に関しては、まずモデル実験としての金属イオン(今年度は、Zn, Cdを対象)とケイ酸間の相互作用の有無の検証と、Zn, Cd含有水耕溶液からのイネへのケイ酸の取り込みと沈殿機構に関して研究を行った。 まず始めの炭酸水素イオンとケイ酸間の相互作用に関しては、「炭酸水素イオン共存下での非晶質シリカの溶解挙動」と「炭酸水素イオンによるポリケイ酸の分解反応の促進」を研究した。炭酸水素イオン共存下では、非晶質シリカの溶解が促進され、その程度は溶液中の炭酸水素イオン存在量が高いほど大きかった。一方、ポリケイ酸溶液に炭酸水素イオン溶液を添加した場合、ポリケイ酸が分解する反応が、対象溶液よりも促進されることが明らかとなった。この2つの結果は、溶液中でケイ酸と炭酸水素イオンが水素結合等の比較的弱い結合で錯体を形成している可能性を示唆している。炭酸水素イオンとケイ酸間の反応に関しては、本研究によって新たに示された内容である。 一方、ケイ酸と金属イオン(Zn, Cd)間の反応に関しても、同様に研究を行った。モデル実験として、非晶質シリカの溶解に与えるZn (or Cd)の影響と各金属水酸化物へのケイ酸の吸着挙動を研究した。モデル実験では、各金属イオンとケイ酸間の錯体形成の可能性が示されたが、実際のイネの分析が不十分であったため、今後はイネを用いた研究に重点を置くことが望ましいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
(抄録なし)
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Research Products
(3 results)