2012 Fiscal Year Annual Research Report
拡張型心筋症における sigma-1 受容体の動態と新規治療薬に関する研究
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12J04360
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
田頭 秀章 東北大学, 大学院・薬学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | sigma-1受容体 / ミトコンドリア / ATP / 心肥大 / カルシウムシグナル |
Research Abstract |
うつ病患者へのselective serotonin reuptake inhibitor(SSRI)適応は心疾患合併リスクを減少させるという臨床試験報告は多い。しかし、SSRIによる心機能改善効果のメカニズムについては明らかにされていない。私達はSSRIであるfluvoxamineが高親和性sigma-1受容体アゴニストであることに着目し、心筋保護作用を示すことを明らかとした(Tagashira et al.,Am J Physiol Heart Circ Physiol・,2010.)。しかしながら、心筋保護作用を示す詳細なメカニズムは不明である。本研究では次の課題について追究する。1.Sigma-1受容体アゴニストによるsigma-1受容休のアップレギュレーションのメカニズムの解明、2.Sigma-1受容体の病態生理学的役割の解明、3.Sigma-1受容体アゴニストの心不全進展予防薬としての有用性の検討し、本年度は2と3に関して次に結果を得た。Sigma-1受容体選択的アゴニストであるSA4503は、アンギオテンシンII(AngII)による培養心筋細胞肥大、およびマウス胸部大動脈狭窄による病的心肥大・心機能障害に対して保護作用を示すことを明らかにした。Sigma-1受容体は、内因性リガンドが不明なオーファン受容体であるが、非心筋細胞においてmitochondria-associated ER membrane(MAM)に多く発現し、一部はIP_3受容体と結合し細胞内Ca^<2+>濃度の恒常性維持に関与すると考えられている。そこで、SA4503が、ER-mitochondriaの近接部位の増加およびIP_3受容体を介したミトコンドリアへのカルシウム輸送を促進し、ATP産生を増加させ、心不全進展予防作用を示すことを明らかにした(Tagashira et al.,Biochim Biophys Acta.,2013.)。これらの成果は、心筋におけるsigma-1受容体の生理学的役割を示したと同時に、新たな心筋保護薬開発の創薬ターゲットとしての可能性を示唆する重要な知見である。さらに、sigma-1受容体の病態生理学的役割の解析を行うため、sigma-1受容体過剰発現系も確立した。今後はSA4503によるミトコンドリアへのカルシウム輸送の詳細なメカニズムについて検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究成果は、著名な英文科学誌であるBiochimica et Biophysics Acta-General Subjects(IF:5.00)に掲載された。さらに、筋萎縮性側索硬化症(ALS)の家系に変異が見いだされたsigma-1受容体の変異体がミトコンドリアへのCa2+輸送とATP産生系に異常を引き起こすことを発見し、そのメカニズムの解明も続けている。Sigtna-1受容体の疾患との関わり解明するための大きな成果を得られている。よって、当初の計画以上の研究の進展があったと評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
Sigma-1受容体アゴニストによるsigma-1受容体のアップレギュレーションのメカニズムについては、未だ不明であるが、既にエンドセリン刺激でsigma-1受容体のダウンレギュレーションが引き起こされることを培養心筋細胞において確認している。各種インヒビターを用いて今後検討していく予定である。また、sigma-1受容体の病態生理学的役割の解析を行うため、sigma-1受容体過剰発現系も確立した。今後、sigma-1受容体siRNAknockdownおよび過剰発現系を用いて、病態生理学的意義について解明する予定である。
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Research Products
(10 results)