2012 Fiscal Year Annual Research Report
ラドン散逸係数と土壌物性との関係および散逸ラドンの地下水への影響に関する研究
Project/Area Number |
12J04464
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
城間 吉貴 琉球大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ラドン散逸係数 / 土壌物性 / 粒経分布 / 比表面積 / 地下水・洞内ラドン濃度 / 沖縄県 |
Research Abstract |
本研究は、ラドン散逸係数と土壌物性(粒経分布および比表面積)との関係およびラドン散逸係数を利用した地下水・鍾乳洞内ラドン濃度における土壌からの散逸ラドンの影響解明を目的とする。本年度は,従来の規格化あるいは簡素化された実験系ではなく、実環境と同様の土壌環境を実験室において保持あるいは再現し、土壌からのラドンの散逸・移行を評価することを目指し,ラドン散逸係数と土壌の粒径分布との関係解明を主たる目的として研究を進めた。特にラドン散逸係数の評価法を改善するため,従来のラドン濃度測定手法の見直しを行い,バックグランド測定およびラドン濃度測定について改良を行った。従来の実験手法では,バックグランド計数率は0.37-1.70cpmの範囲であったが,改良を行った結果,0.30-1.57cpmとバックグラウンドの最大値を低減することができた。沖縄県全域を対象としたラドン散逸係数の評価を行うため,宮古島・南大東島・北大東島および与那国島において土壌の採取を行った。評価されたラドン散逸係数の算術平均値は,含水比0wt%で0.19および10wt%で0.32と水分の増加によりラドン散逸係数が上昇することが明らかとなった。また,土壌粒径の違いによるラドン散逸係数の変化について測定を実施し、有為なデータを得た。沖縄県特有の土壌別に比較すると,赤黄色土(国頭マージ)は赤褐色土(島尻マージ)より有意に低いラドン散逸係数を呈することが明らかとなった。この有意な差が,赤黄色土と赤褐色土の土壌の粒径分布の違いによる可能性が示唆された。これらの実験と並行して、成果の一部を下記の国際誌ならびに国内学会で発表した。実験系の改良・データ取得に加え、その後に得られた成果についても公表準備を進めている。藩
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
試料採取、実験系構築、基礎実験実施など、当初計画に沿って研究を進めており、成果の一部は国際誌Radiation Protection Dosimetryに原著論文として掲載された。これに加えて、研究室が実施している関連共同研究にも参画し、国内学会において成果発表を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
沖縄県内で採取された土壌のラドン散逸係数の評価および土壌の粒径分析を進めるとともに,県外においても代表的な土壌(シラス・関東ロームなど)を採取し,沖縄県の土壌との比較を行う。また,ラドン散逸係数に影響する土壌のパラメータとしてこれまでにラドン散逸係数を評価した土壌の比表面積を算出し,ラドン散逸係数と土壌の比表面積との関係を明らかにする。得られたデータに基づきラドン散逸係数と土壌物理パラメータとの関係について取りまとめを行い,国内外の学会で発表し,原著論文として国際誌に投稿する。
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Research Products
(3 results)