2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12J04479
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
谷崎 祐太 早稲田大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | トロンボポエチン / 血小板 / 巨核球 / トロンビン / アフリカツメガエル |
Research Abstract |
トロンボポエチン(TPO)およびその受容体c-Mp1シグナルは血小板産生および、造血幹細胞の維持に関わっている。しかし、複雑な過程を経て行われる血小板産生におけるTPO-c-Mp1システムの関わりについては未解明な点が多く残されている。単純な分化、成熟過程が予想される非ほ乳類が持つ有核栓球造血のTPO-c-Mp1システムの解明が、血小板産生機構の解明に繋がることを期待して、細胞生物学的解析が容易なツメガエルにおいてツメガエルTPO(xlTPO)が造血巣である肝臓細胞を刺激して得られた細胞の性質を解析した。これまでに、xlTPOにより培養された肝臓細胞画分には成熟栓球様細胞、非ほ乳類には存在しないとされていた巨核球が含まれていることを示してきた。本年度は、xlTPO刺激により栓球様細胞が出現したことから機能解析を行う為に有核栓球の定量的な機能解析法を確立し、末梢栓球が血小板と同様にADP、ATP、コラーゲン、トロンビンで活性化されることを示した。本解析法により、栓球様細胞の機能を解析したところ、トロンビンによる活性化が示されたことから、xlTPOは有核栓球の成熟に関与するサイトカインであることが明らかとなった。さらに、肝臓中に含まれる細胞の一部は3ヶ月以上xlTPO単独で長期培養することが可能な未熟な細胞が存在することを見出した。本細胞が血球細胞であることを示す為、血球系遺伝子の発現解析をおこなった結果、長期生存した細胞集団は栓球系に発現する遺伝子c-mpl、itga2b、fli-1、白血球、赤血球に発現するmpo、g-csfr、globinの発現を確認した。本細胞は肝臓、もしくは脾臓細胞を培養して得られた培養上清を添加すると好中球、好酸球系の細胞、貪食能を有するマクロファージへの誘導が認められた。以上の結果より、xlTPOは、アフリカツメガエルにおいては未熟血球の長期維持に重要である他、栓球産生、巨核球産生といった広範囲な造血過程において重要な機能を担っていることが明らかとなった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通り、in vitroにおけるツメガエル栓球前駆細胞の解析が進み、成果の一部は海外学会で口頭発表を行った。来年度はin vivoにおける培養栓球前駆細胞の動態を明らかにしていく。
|
Strategy for Future Research Activity |
昨年度in vitroの実験から得られた結果を基に、in vivoにおいてもxITPOにより誘導される細胞の性質を明らかにしていく。ツメガエルにxITPOを投与した個体とin vitroで培養した細胞を移植した2つのモデルを作成した後、造血巣である肝臓において、前駆細胞の数的変動および前駆細胞特徴を解析する。さらに、結果をまとめて論文投稿を行う。
|
Research Products
(7 results)