2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12J04479
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
谷崎 祐太 早稲田大学, 理工学研究科, 特別研究員DC2
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Keywords | トロンボポエチン / アフリカツメガエル / 造血幹細胞 / 細胞移植 / 栓球 |
Research Abstract |
アフリカツメガエルTPO (xlTPO)は巨核球への分化誘導, 血小板に相当する有核栓球の産生に関与するほか多能性前駆細胞の維持といった広範囲な分化過程において重要な機能を担う。本研究ではin vivoにおける培養栓球前駆細胞の動態を明らかにすることを目的とした。xlTPO含有培地で肝臓細胞を培養すると5ヶ月以上xlTPO単独で栓球系以外の細胞にも分化可能な多能性前駆細胞が維持された。本細胞が移植可能な未分化細胞であると推測し, アフリカツメガエル移植実験系の構築を試みた。まず, アフリカツメガエルは同一系統の数が限られているため, 同一個体内での移植系の構築を目指した。アフリカツメガエル肝左葉の摘出を行った後, 24日間xlTPO存在下で培養を行った。その後, 細胞をPKH26でラベルし, 肝臓を摘出したツメガエルに心投与した。細胞移植して30日後に複数臓器にてPKH26陽性細胞をフローサイトメトリー法により検出した結果, 細胞は肝臓と脾臓に生着していることが分かった。さらに生着した細胞はマウス造血幹細胞と同様にFSC_<low>, SSC_<low>の特徴を示したことから, xltPO単独で長期維持された細胞が造血幹細胞に類似する性質をもつことが明らかとなった。TPOが単独で多能性前駆細胞の長期維持に関与することは, ほ乳類では見られることなく, c-Mplを介した新たなシグナルを解析するのに有用なモデルとなり得ると考えられる。また, 本研究によりアフリカツメガエルにおける軟組織での造血様式の一端が明らかとなったため, 骨髄ではなく, 軟組織における造血微小環境の解析を進める基盤が整えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
栓球前駆細胞の生体内挙動を追う過程で, 想定していたものよりも未熟な細胞を得ることが出来た。このため, 血小板の産生機構の解析を行う上で, 単に細胞の最終分化の解析に留まらず, 長期的な細胞挙動の解析が可能となった。
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Strategy for Future Research Activity |
既存の細胞ラベル方法では長期的な細胞追跡が困難である。全血球に蛍光ラベルされている遺伝子改変個体はツメガエルでは作出されておらず, 新規の遺伝子改変ツメガエルの作出が求められる。しかし, ツメガエルは成体になるまでに時間を要することから, トランスポゾンであるTol2を用いた細胞遺伝子ラベル技術の確立を行うこととする。今後は, 本手法によりラベルされた細胞を用いて, 長期的な細胞追跡解析を可能とさせる。
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Research Products
(10 results)