2012 Fiscal Year Annual Research Report
金星電離大気流出量・流出過程の惑星間空間磁場方向に対する応答
Project/Area Number |
12J04489
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
益永 圭 東北大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 金星 / 大気流出 / 電離圏 / 粒子加速 / Venus Express |
Research Abstract |
欧州の探査機Venus Express(以下VEX)に搭載されたプラズマ観測器ASPERA-4と磁場観測器を用いて、惑星間空間磁場(以下IMF)方向が定常な場合における金星大気流出量・流出メカニズムの研究を行った。 以下に研究内容の詳細を記す。 i.金星酸素イオン流出量とIMF方向の関係 VEXが観測したプラズマのモーメントデータと磁場データを用い、金星から流出する酸素イオンの流出量とIMF方向の関係性を調べた。4年間の観測データの中から、1)IMFが太陽風の速度方向と垂直な場合(以下、垂直ケース)、2)平行な場合(以下、平行ケース)の2通りに場合分けし、金星夜側で観測された酸素イオンの流出フラックスを比較した結果、垂直ケースは5.9x10^<24>s^<-1>、平行ケースは4.0x1O^<24>s^<-1>という流出率を得た。これらの値に大きな違いがないことから、IMF方向は金星の酸素イオンの流出量に影響を与えないと結論づけた。 本研究内容は、国際誌Geophysical Research letterに投稿され、受理された。 ii.金星酸素イオン加速メカニズムとIMF方向の関係 iの研究において、流出量に違いは見られなかったが、酸素イオンの空間分布には違いが見られた。この結果に基づき、我々はこれまで酸素イオンの代表的な加速メカニズムであると考えられてきた太陽風対流電場方向が2ケースの間で異なると考えた。酸素イオンが観測されるその場での対流電場(以下、ローカル対流電場)を定義し、その方向に酸素イオンの空間分布が従うかどうかを調べた。その結果、両ケースの酸素イオン空間分布がローカル対流電場方向に従うことを突き止めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に記載の通り、金星における惑星間空間磁場方向に対するO^+イオンの流出量導出・比較を行った。 また、計画と順番は前後するが、各ケースにおけるO^+イオンメカニズムも明らかにした。年次計画は多少順番が前後しているが、研究計画全体としては、おおむね順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでは、惑星間空間磁場(IMF)方向が定常な場合について調べてきたが、今後はIMF方向が変化した場合、O^+イオン流出量がどのように変化するのかを統計的に調べる。 また、VEXの電離圏でのイオン観測に加え、電子の観測データを解析することで、O^+イオンがどこから加速されてきているのかを調べる。
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