2012 Fiscal Year Annual Research Report
タンザニア自然保護区での野生動物保護と民族文化保護の両立に関する環境社会学的研究
Project/Area Number |
12J04503
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤本 麻里子 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 野生動物 / 地域住民 / 自然資源 / 自然保護区 / 野生生物資源 / 保全 / 資源利用 |
Research Abstract |
申請者は本年度の研究計画において、タンザニアの国立公園周辺に居住する地域住民と野生動物の遭遇事例について調査を行い、人々の野生動物の利用状況および人と野生動物の間に生じるコンフリクトについて実態解明を行う予定であった。本年度は8月から9月の間の1か月間および2月から3月の2か月間、タンザニアにおいて現地調査を実施した。 タンザニア西部、マハレ山塊国立公園の周辺の村において、野生動物と人の遭遇事例およびその対処法について聞き取り調査を行った。1つ目の事例ではカバが畑に出没し、農作物被害が甚大であることがわかった。これに対し、人々は罠をしかけて自衛策を取ったが、正式な狩猟許可を取得していなかった。しかしながら、獣害という緊急事態において、村人が罠をしかけてカバを捕獲しようとしたことに対し、国立公園レンジャーや狩猟管理官、警察官などが連携して対応に当たり、カバを国立公園内に移動させるなど、柔軟な対応を示した。また、村にチンパンジーが現れた事例や、鉄道の駅にワニが現れて子どもが犠牲になるといった、数々の野生動物と人のコンフリクト事例を収取することができた。これらの事例に対して、国立公園レンジャーや警察官、狩猟管理官がどのような対応を見せたかを詳細に聞き取り、人々と野生動物の共存のあり方について検討した。その成果を、2013年2月にケニアのナイロビで開催された国際シンポジウム、"Mobility, Hibridity and the Way to Co-existence : Re-structuring of Daily Life in Rural and Urban African Societies"(東京外国語大学AA研主催)において、口頭発表を行った。ナイロビ大学、ザンビア大学などの若手研究者と有意義な議論を行うことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は約3か月の現地調査を実施し、詳細なデータ収集を行うことができた。タンザニアの自然保護政策に関しても自然資源観光省において、政策文書の収集など重要な資料を収集した。また、国内および海外で口頭による研究発表を行い、国内外の共通の関心を持つ研究者と有意義な情報交換および議論をする機会を持つことができた。これらから、本研究はおおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題ではタンザニアの人々の持続的な生物資源の利用を主な調査対象としている。哺乳動物などの狩猟、農作物被害といった視点に加え、タンザニアが持つ豊富な漁業資源の持続的利用についても調査が必要であることが初年度の調査により明らかとなった。そこで、今後の推進方策としては、インド洋、タンガニイカ湖、ビクトリア湖、ニャサ湖など漁業資源が豊富な地域における、人々の生活実態と自然資源の利用状況を解明するべく、現地調査に基づいた研究を行っていく予定である。
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] Ranging behavior of Mahal e chimpanzees : a 16 year study2013
Author(s)
Nakamura M, Corp N, Fu iimoto M, Fujita S, Hanamura S, Hayaki H, Hosaka K, Huffman MA, Inaba A, Inoue E, Itoh N, Kutsukake N, Kiyono-Fuse M, Kooriyama T, Marchant LF, Matsumoto-Oda A, Matsusaka T, McGrew WC, Mitani JC, Nishie H, Norikoshi K, Sakamaki T, Shimada M, Turner LA, Wakibara JV, Zamma K
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Journal Title
Primates
Volume: vol. 54(2)
Pages: 171-182
DOI
Peer Reviewed
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