2012 Fiscal Year Annual Research Report
磁気流体・輻射磁気流体数値実験による相対論的ジェットと周辺環境相互作用の研究
Project/Area Number |
12J04786
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
朝比奈 雄太 千葉大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 磁気流体 / ジェット / 星間ガス / 衝撃波 / 分子雲 |
Research Abstract |
銀河系内ジェット天体SS433から噴出するジェットの延長上や銀河系中心で観測されている分子ガスの形成機構を調べるために、星間ガスの加熱・冷却過程を考慮したジェット伝播の磁気流体計算を実施した。 初期状態は1万度の温かいガスの領域と200度の中性水素(HI)ガスの2つの領域が圧力平衡で接しているとし超音速ジェットを注入した。HIガスはジェットの前方に形成される衝撃波によって加熱・圧縮されるが、密度の増加により冷却率も上がるので温度が下がり、ジェットを包み込む低温高密度な領域を形成した。断熱計算の結果ではジェットの先端にジェットターミナルショックと呼ばれる強い衝撃波が形成されており、このような領域がX線や電波を放射していると考えられている。冷却過程を含めた計算の結果では、ジェットを包み込む低温高密度領域からの音波の反射によって、ジェットのビームが壊され、温かいガスとHIガスの境界付近に周期的に2つ目の衝撃波が形成された。この2つ目の衝撃波がW50のX線・電波放射領域に対応している可能性がある。 さらに磁気タワージェットの形成・伝播の磁気流体計算を実施した。初期状態はジェット伝播モデルと同様にし、ケプラー回転するディスクを境界条件として与えた。ディスクをループ状に貫く磁場を仮定した。円盤の回転の角速度差によってループ磁場が捻られ、磁気圧が高まることで回転軸方向に円盤の回転速度程度の速度の磁気タワージェットが形成された。ジェット前方に形成された衝撃波によってHIガスが圧縮されることで冷却不安定が誘起され、磁気タワーを包み込む中空円筒状のより低温・高密度な領域を形成した。以上の結果から直線上に並んだ分子雲の形成はジェットによって誘起されているのではないかと考えられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
磁気タワージェットの2次元計算についてはHIガスが新しい熱平衡状態になるまでの結果が得られている。3次元計算については、計算が不安定になったためHIガスが熱平衡状態に落ち着くまでの十分な時間の計算を行えていないが、磁気タワージェットの形成については結果を得られつつある。
|
Strategy for Future Research Activity |
磁気拡散や境界条件などを調整し、HIガスが熱平衡状態になるまでの計算を安定に行えるようにし、3次元計算の結果を観測と比較する。その後非等方な輻射を扱える相対論的輻射磁気流体コードの開発を進める。このコードを用いて、降着円盤を含めたジェット加速領域の計算を実施し、ジェットの終端速度と周辺環境の関係を明らかにする。また輻射がジェットの加速に及ぼす効果を調べる。
|
Research Products
(7 results)