2013 Fiscal Year Annual Research Report
ストリゴラクトンシグナルの分子調節を目的とした化合物創製研究
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12J04840
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
福井 康祐 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ストリゴラクトン / 植物ホルモン / 枝分かれ / 寄生植物 |
Research Abstract |
SLは植物体内において枝分かれを抑制するホルモンとして作用する他、最近では根の形態形成に関わること、乾燥ストレスや塩ストレスに対して耐性を付与すること、また種子発芽時における高温ストレスに耐性を与えることなどが報告され、植物の生活環の中で重要な役割を担っていることが明らかとなってきた。一方で、SLは根から放出され根圏情報伝達物質としても作用しており、AM菌の菌糸分岐誘導物質として働くと同時にハマウツボ科の根寄生植物の一種であるストライガやオロバンキなどの種子発芽刺激物質としても働く。昨年までの研究により、安価で簡便に合成可能なストリゴラクトン(SL)ミミック、デブラノンの開発に成功していたが、第一世代のデブラノンは植物の枝分かれ抑制に対しては効果を示すが、他の代表的なSL活性である根寄生植物の種子発芽誘導に対してはほとんど効果を示さなかった。今年度はデブラノンの構造活性相関をやり直し、その結果どのような構造を取れば根寄生植物の種子発芽を誘導できるタイプのデブラノンが合成できるのかを明らかにした。さらに、根寄生植物には作用するが枝分かれは抑制しないタイプの化合物も合成できた。これはアフリカのサブサハラ地城などで問題となっている根寄生植物の防除法の開発に関する研究に貢献できると考えられる。また、合成した各種選択的化合物を植物体に与えたところ、これまで知られているSLの植物ホルモン活性のうち、一部分のみを示す化合物が存在した。このことは植物体内におけるSLの機能が、いくつかの独立した情報伝達経路を介して発現していることを示唆しており、今後の植物ホルモンとしてのSLの機能解明や情報伝達因子の解明に寄与すると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ストリゴラクトンは近年その植物ホルモン活性が明らかにされた化合物であり、現在世界中で活発に研究が行われているため、関連する研究の進展がめざましく当初の予定とは状況が異なっているが、SLミミックとして複数の生理活性のうち目的とする作用のみを発揮する化合物は現在ほとんど報告されておらず、オリジナリティのある研究として展開できているから。
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Strategy for Future Research Activity |
各種機能選択制を有するデブラノン類を用いることで、SLの植物ホルモンとしての作用が部位別・機能別に制御されている可能性が示唆された。よってその制御機構を明らかにすることで、SLの作用をより詳細に理解することが可能であると考えられる。また、ストライガの種子発芽と相関を有する植物ホルモン作用が明らかになれば、双方の情報伝達因子を類型化することにより、遺伝学が利用できない根寄生植物においても分子生物学的な知見が得られると考えられる。
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[Journal Article] Molecular mechanism of strigolactone perception by DWARF142013
Author(s)
Hidemitsu Nakamura, Yau-Lin Xue, Takuya Miyakawa, Feng Hou, Hui-Min Qin, Kosuke Fukui, Xuan Shi, Emi Ito, Shinsaku Ito, Seung-Hyun Park, Yumiko Miyauchi, Atsuko Asano, Naoya Totsuka, Takashi Ueda, Masaru Tanakura & Tadao Asami
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Journal Title
Nature Communications
Volume: 4
Pages: Article number : 2613
DOI
Peer Reviewed
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