2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12J04841
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
蕭 振豪 京都大学, 大学院文学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 紐 / 中国語学 / 詩歌韻律 / 軽清重濁 / インド詩学 |
Research Abstract |
6~7世紀ごろに完成した中国古典詩の韻律は、中国語が声調言語であるため、4種の声調を2類即ち平声と灰(ソク)声に大別し、この平声と灰声の配列パターンによって音楽性のある韻律を構成している。しかし、中国古典詩にみられる「平灰」配置の韻律が、どのような過程で形成されたかは、いまだ充分明らかにされたとは言いがたい。本研究では分野の制約を打破し、中国文学の資料のみならず、日本で所蔵する悉曇学文献・諸国に収蔵されている出土文献・サンスクリットの韻律関係文献などの資料を収集した上で、音韻学に於けるいくつかの用語の意味を再検討し、用語の借用の情批や意味の変遷を検討し、韻律概念の複数の起源を尋ね、立体的に歴史に捉える。 本年度は軽清重濁及び「紐」と詩歌韻律の関係の解明を試み、前者は平灰と無関係、後者はサンスクリットないしパーリ語に於ける詩歌韻律に由来した事が判明されている。Mair and Meiでは、軽・重とはのちの平灰の事だと指摘されているが、『文鏡秘府論』・『悉曇蔵』などの一次資料によれば、詩歌韻律における「軽・重」と「清・濁」はそれぞれ声母と介音の特徴を指す用語であり、また6世紀にかけて平灰として用いられたよう例が存在しない。更に、本研究では、Nālyaśāstra・Bhattikāvya Kāvyālańkāra・Kavyadarśa・Kavyālańkārasurta・Agntpurāņaなどのインド詩学書に見えるyamakaとanuprasaの定義を詳しく分析し、中国音韻学・詩歌韻律ないし日本の悉曇学に於ける三つの紐・二つの雙聲・三つの正/傍紐の定義を整理した上で、この三種類の正ノ傍紐と紐・雙聲の関係をそれぞれ解明し、また紐はyamakaに由来と同定している。Yamakaの定義は中国に導入された共に、「伺音」から「同声母・同韻母・異声調」のように変わってきて、更に「同紐」の四っの字が一つのグループとして扱われ、「四声一紐」という概念が生み出されたに至った。パーリ語文献Subodhālańkāraを取り上げて「紐」その用語はサンスクリットの学説と少し異なったインド方言の詩論から導入された可能性も指摘している。
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Strategy for Future Research Activity |
(抄録なし)
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Research Products
(6 results)