2012 Fiscal Year Annual Research Report
シオカワコハナバチにおける真社会性巣の出現割合にアリによる捕食圧が与える影響
Project/Area Number |
12J04844
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
八木 議大 北海道大学, 大学院・農学院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 利他行動 / 包括適応度理論 / コハナバチ |
Research Abstract |
研究の目的は「シオカワコハナバチにおける複メス化が捕食圧に対する効果をもつという仮説の検証である。この仮説はシオカワコハナバチにおいて、不妊のワーカーによる複メス化の進化と、単メス巣と複メス巣の同時期における共存とが両立している要因を明らかにするうえで必要であり、進化生物学の重要なテーマである、協同の進化を考える上で重要なものである。 平成24年度の調査では、(1)「単メス巣と複メス巣における、アリ捕食圧を変化させた際の適応度変化」を検証するための野外実験、および(2)「北海道各所におけるシオカワコハナバチの単メス巣と複メス巣の比率、および各所におけるアリの捕食圧」の野外計測を行った。 このうち、(1)の実験では、同じ場所の営巣集団を二つに区切り、アリの捕食圧を変化させる実験を行った。このとき巣内メス成虫を捕獲することで、自然状態ではあまり高頻度に出現しない単メス巣を人工的に作り、アリの捕食圧が変化することの影響が単メス巣と複メス巣でどう変化するかを定量的に解析することを試みた。しかし巣内成虫の間引きによってその年の営巣をやめて解散する巣が多く、今年度の実験はうまくいかなかった。 (2)の調査では、巣内成虫を「一頭のみ」捕獲し、巣口を塞ぐ操作によって単メス巣と複メス巣の区別をつけ、北海道内各地域個体群における単メス巣率と複メス巣率を算出し、同時に各営巣地における捕食圧としてのアリ採餌活性の計測を行った。単メス巣・複メス巣の割合には営巣地間で変異が見られ、緯度との相関性が見られた。ただしこれは各営巣地間の系統関係を考慮していないため、系統解析を行うべく、マイクロサテライト遺伝子座の抽出実験を急いでいる。さらに、各地域間だけでなく、単メス巣と複メス巣の系統関係についても解析を行い、単メス・複メスの共存について違う角度からのアプローチも予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アリ捕食圧とコハナバチの適応度の関係については、実験操作により営巣が終了してしまうなどにより、満足のいく結果は得られなかった。一方、単メス巣と複メス巣の比率調査では、予定した値より少ないが最低限必要な数の営巣地でサンプルを得ることができた。今年度の調査で追加できる見込みは十分あり、分析は問題なく行うことが可能である。
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Strategy for Future Research Activity |
コハナバチに対する実験的処理(成虫の間引きなど)は、営巣を終了させるリスクが高いことが判明し、労力の割に満足な結果が得られない見込みが高い。さらに大学側の規定によってレンタカーを使用する長期調査が困難な状況にあり、作業効率が落ちることが懸念されるため、今後はすでに一定数のサンプルが集まっており、より確実にサンプル数を得ることが可能な単メス・複メスの比率調査を優先して行う予定である。
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Research Products
(2 results)