2012 Fiscal Year Annual Research Report
食虫植物における立体的な葉形態の進化メカニズムの解明
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12J04926
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Research Institution | The Graduate University for Advanced Studies |
Principal Investigator |
福島 健児 総合研究大学院大学, 生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 食虫植物 / 進化 / フクロユキノシタ / ゲノム / トランスクリプトーム / 捕虫葉 / ムラサキヘイシソウ / Virus-induced gene silencing(VIGS) |
Research Abstract |
『複雑な新奇形態がどのように進化するのか』という問題は、進化学上の未解決課題である。特に、食虫植物が形成する袋状の捕虫葉の進化は、元々平面的構造を持っていた葉が立体的に変化した点において、革新的な形態進化の例である。しかし、こうした立体的構造がどのような遺伝的変化によって生じたのかという点は明らかになっていない。そこで本課題では、捕虫葉の形態進化を引き起こした遺伝的変化を特定するために、【1】捕虫葉の発生モデルを検証し、さらに【2】PHABULOSA(PHB)・FILAMENTOUS FLOWER(FIL)の捕虫葉特異的な発現パターンの制御メカニズムの解析を行うこととした。 【課題1.捕虫葉の発生モデルの検証】食虫植物フクロユキノシタにおいてin vivoの遺伝子機能解析を行うため、全身的な遺伝子ノックダウン法を確立した。遺伝子ノックダウンから向背軸制御因子が捕虫葉発生において果たす機能を明らかにするため、PHB・FILのノックダウンコンストラクトを作製した。 【課題2.PHB・FILの捕虫葉特異的な発現パターンの制御メカニズムの解析】フクロユキノシタの完全な遺伝子セットを得るため、ゲノム解読に着手し、予備的なゲノムアセンブリー、遺伝子予測、アノテーション付けを行った。さらに、捕虫葉においてPHB・FILの発現パターンを制御する因子を探索するため、捕虫葉および普通葉における葉原基間トランスクリプトーム比較を行い、発現変動遺伝子のリストを得た。それらの中から転写因子を抽出し、サイレンシングベクターライブラリの作製を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ノックダウンやゲノム解読など、所要時間を予測しにくい実験系の確立が順調に進行したため。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、フクロユキノシタにおけるノックダウンスクリーニングを主軸として研究を進める。さらに、本種でISH法、遺伝子ノックイン法を確立し、向背軸決定因子の解析を行う。また、フクロユキノシタのゲノム解読の成果を論文にまとめ、本年度中に発表する。ムラサキヘイシソウで得られた捕虫葉の発生様式に関するデータをまとめ、論文として発表する。
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Research Products
(4 results)