2012 Fiscal Year Annual Research Report
教育政策の経済分析-学習指導要領が賃金などに与えた効果の計量経済分析-
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12J04938
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
中村 亮介 慶應義塾大学, 経済学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 教育の経済学 / 学習指導要領 / 政策評価 / 労働経済学 |
Research Abstract |
本研究の目的は日本の教育政策で最も影響力のある政策の一つである、学習指導要領の総合的な効果を教育の経済学、計量経済学の知見を用いて明らかにすることである。 平成24年度は研究目的及び研究計画に従い次のことを実施した。 1.高等学校における学習指導要領が賃金に与える効果の推計 2.普通科高等学校のカリキュラム編成状況調査 1の研究においては、全国一律、学年進行に伴って変化する高校の学習指導要領が賃金に与えた影響を計量経済学的手法を用いて分析した。就業構造基本調査のマイクロデータを使ったこれまでの分析で、詰め込み教育からゆとり教育へと切り替わった1982年版指導要領が賃金に与えた効果は統計的には有意ではないことが分かった。さらに、知識を重視する詰め込み教育(1973年版指導要領)が必ずしも賃金を上昇させるわけではないこと、むしろ男性の賃金に対してはマイナスの影響があったことなどが分かった。 2の調査においては、首都圏にある一つの都道府県の普通科高等学校におけるカリキュラム編成の情報公開の程度について調査した。各高等学校のホームページにおけるカリキュラム編成の公開状況を調査した結果、普通科高校の約9割がカリキュラム編成を公開していること、しかしながら公開範囲、様式などは統一されていないことなどが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度中における研究目的及び研究計画はおおむね順調に進展している。1については、その研究成果を国内の研究会において発表し、経済学、教育学の研究者から多くの有益なコメントを得ることができた。また、平成25年度には国内学会での発表及び学術雑誌への投稿を予定している。2については、当初計画通り首都圏にある一つの都道府県立普通科高校のカリキュラム編成状況の調査を終えることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、学習指導要領の効果の分析をさらに進める。具体的には、指導要領が影響を及ぼすであろう複数の成果指標を使って、指導要領の効果を多角的に評価する。 また、高校におけるカリキュラム編成状況の調査については、調査対象地域を拡げつつ継続的に行う予定である。
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