2013 Fiscal Year Annual Research Report
大脳皮質神経回路における機能単位の発生的基盤:二光子励起法と分子遺伝学による研究
Project/Area Number |
12J04982
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松井 鉄平 九州大学, 医学研究院, 特別研究員(PD)
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Keywords | 大脳皮質 / 発達 / 視覚 / 二光子顕微鏡 |
Research Abstract |
本研究の目的は、発生学的に規定される局所神経回路の機能的性質を調べることにより、大脳皮質神経回路の"機能単位"の由来を明らかにすることである。大脳皮質の発生過程においては、単一の神経幹細胞から生み出される子孫神経細胞が、層構造に対して垂直方向に分布する(Sisler Cells)。このような皮質に垂直な構造はHubel&Wieselらにより報告されてきた機能カラムとの関連を予想させる。本研究では、分子遺伝学的に標識した単一神経幹細胞由来のSister Cellsを、二光子励起法によるin vivoイメージングを用いて解析し、それらが機能的に類似した細胞から構成されているかを明らかにする。昨年度の研究では、カルシウム指示タンパク(GCaMP)を用いると軸索や樹状突起などの活動観察が可能なことが判明し、当初の予想よりも更に幅広く研究が展開する可能性が伺えた。 本年度は、マウスの一次視覚野において、異なる高次視覚野に投射をする神経細胞の活動を軸索末端のカルシウム応答を観察することにより解析し、マウスの一次視覚野からは、異なる視覚反応特性を持つ高次視覚野に対して、その高次視覚野の特性に合わせた異なる情報が送られていることを明らかにした。この結果については、神経科学大会Neuro2013でポスター発表を行い、更にFrontiers In Neural Circuit誌に投稿・受理された。 本年度は更に、軸索末端の活動だけでなく、樹状突起の活動を観察することで、神経紬胞への入力を調べる技術の開発に取り組んだ。現在までに、樹状突起でのカルシウム応答を観察するところまでは達成したものの、神経細胞の発火に伴うバックプロパゲーションの影響が大きく、個々の入力と細胞体の発火とを切り分けて解析することが思ったよりも難しいことが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
カルシウム指示タンパク(GCaMP)を用いると軸索や樹状突起などの活動観察が可能なことが判明し、その一部は論文として英文誌に発表することが出来た。また、このような新しく可能になった実験手法をsister cell集団に適用することで、sister cellにおける入出力と機能的類似性との関係が明らかするという、当初考えていたよりも幅広い方向に研究が進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までに、樹状突起でのカルシウム応答を観察するところまでは達成したものの、神経細胞の発火に伴うバックプロパゲーションの影響が大きく、個々の入力と細胞体の発火とを切り分けて解析することが思ったよりも難しいことが分かった。今後は、細胞体の発火を抑制することで、個々の入力の解析を効率的に行う方法を開発していく予定である。また、このような実験手法をsister cell集団に適用することで、sister cellにおける入出力と機能的類似性との関係が明らかする方向に研究を展開したい。
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Research Products
(2 results)