2012 Fiscal Year Annual Research Report
金属複合プラスチックからの有機原料と金属の同時回収プロセスの開発
Project/Area Number |
12J04996
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
熊谷 将吾 東北大学, 大学院・環境科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 金属複合材料 / プラスチック / 金属回収 / プラスチックリサイクル / 熱分解 / 加水分解 / 酸化カルシウム / ^<18>O同位体標識水 |
Research Abstract |
平成24年度は、金属含有PETから金属と有機原料を効果的に回収するため、(1)PETおよび金属複合PETの熱分解および加水分解の速度論的検討、(2)金属複合PETに含まれる金属が加水分解に及ぼす触媒作用の検討および、(3)金属複合PETからベンゼンと金属の回収実験、を実施した。 (1)においては、PETを水蒸気雰囲気下で加水分解する際に、熱分解および加水分解の2つの反応が同時に進行することが予想されていたため、^<18>O同位体標識水を用いた解析手法を提案・実施した。本手法は水蒸気雰囲気下における加水分解と熱分解の反応割合を算出する新しいアプローチであり、Chemistry Lettersに発表されている(S.Kumagai et al, Chem Lett.,42,212-214.)。 (2)、(3)については、熱重量質量分析装置(TG)および固定床反応装置を用いた回収試験により検討を行った。金属含有PETとして、PETボトル、X線フィルム、磁気テープおよびプリペイドカードを採用した。原料回収試験により、X線フィルムからは94%以上の金属銀、磁気テープからは96%以上のγ-F_e2O_3、ブリペイドカードからは96%以上のγ-Fe_2O_3、87%以上のアナターゼ型TiO_2およびほぼ全量のAl_2O_3が炭素残渣と供に残留・回収できることが明らかとなった。また、金属含有PETのPET分からベンゼンを回収するために酸化カルシウム(CaO)の添加効果も同時に検討した。その結果、いずれの試料へもCaOが触媒として効果的に働き、CaO未添加時のベンゼン収率が全ての試料に対し平均0.9%であったのに対し、CaOを添加することにより平均33.8%まで向上した。また、得られた液体生成物のベンゼン純度も平均15%から77%まで向上した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
まず、水蒸気雰囲気下において熱分解と加水分解が同時に起こることを明らかにし、その割合も定量的に算出することに成功した。速度論的な解析までは現段階では踏み込めていないが、おおむね成果が表れている。含有金属の触媒作用については、原料回収にほとんど影響が無い事を明らかにし、金属回収率は予想通り良好だった。これらの点については順調である。しかし、ベンゼン収率は更に向上できることが予想される。以上より、予想通り進展した結果の割合が大きいため、おおむね順調であるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、速度論的な解析を行う必要がある。熱重量分析装置を用いて、複数の分解条件で測定することにより、速度論的パラメーターを求められると思われる。また、ベンゼン収率を向上するためには、水蒸気と試料の接触効率を向上する必要がある。従って、ベンゼン収率を向上するためには装置の改良が必要になると思われる。
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Research Products
(12 results)