2013 Fiscal Year Annual Research Report
ステンレス鋼におけるMnS介在物起点の孔食発生メカニズムの解明
Project/Area Number |
12J05158
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
千葉 亜耶 東北大学, 大学院工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ステンレス鋼 / MnS介存物 / ピット / 孔食 |
Research Abstract |
MnS/鋼境界部の溝状溶解に及ぼす材料側の影響 採用1年度目の研究で、MnS/鋼境界部からピットが発生するのは、MnS介在物が溶解することにより生じた硫黄と、環境中の塩化物イオンの相乗作用により、MnS/鋼境界部のステンレス鋼が溝状に溶解することが原因であることを明らかにした。しかし、MnS介在物起点のピット発生の要因としては、MnS/鋼境界部での耐食性の低い層の形成など、材料側の観点からも解析する必要がある。微量S添加SUS304鋼中のMnS/鋼境界部をSTEM観察した結果、組成変化や第二層の形成は観察されなかった。MnS介在物を起点としてピットが発生する原因は、材料側にないことを明らかにした。 MnS介在物起点の孔食発生メカニズムの提案 採用1年度目の研究では、比較的大きなMnS介在物を含む微量S添加鋼を用いて孔食発生メカニズムの解析を行った。MnS介在物起点の孔食に関する研究では、多くの場合で微量S添加鋼が使用されてきたが、MnS介在物サイズが直径1μm程度である市販の耐食用途鋼におけるピット発生起点・挙動を直接観察した例はこれまでに見当たらない。本研究では、市販の耐食用途鋼において、直径1μm程度の微小MnS/鋼境界部よりピットが発生する様子を世界で初めて直接観察することに成功した。ピット発生挙動は介在物サイズに依存せず同様であり、孔食発生機構の全容を解明することができた。 MnS介在物起点の孔食発生メカニズム 1)MnS介在物が溶解することにより、介在物の極近傍のみに硫黄が生成する。 2)硫黄と環境中の塩化物イオンの相乗作用により、MnS/鋼境界部のステンレス鋼が溝状に溶解する。 3)溝内部は閉塞空間であり、鋼の新生面が露出する。また、溝内部ではCr^<3+>の加水分解によるpH低下や、IR-dropによる電位降下が起こる。そのため、溝内部で局部的な活性溶解が起こることが、MnS介在物起点のピット発生であると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
(抄録なし)
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Research Products
(6 results)