2013 Fiscal Year Annual Research Report
ホソヘリカメムシにおける生体リズムと闘争行動の相互作用に関する研究
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12J05168
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
洲崎 雄 岡山大学, 環境学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ホソヘリカメムシ / 性選択 / オス間闘争 / メスの配偶者選択 / 日内変動 / 概日リズム / 繁殖行動 / 代替戦術 |
Research Abstract |
多くの生物の繁殖行動は、時計遺伝子によって生じた概日リズムによる時間制御を受けている。交尾を行うタイミングが慨日リズムに支配されていることが、いくつかの研究で示されているが、交尾に付随して起こるその他の繁殖行動と概日リズムの関係を調べた研究例はない。そこで、本研究では、繁殖行動の慨日変化が報告されているホソヘリカメムシRiptortus pedestrisを用いて、慨日リズムがオス間闘争に与える影響を調査する。24年度では、概日リズムの周期が短い個体と長い個体を選抜した系統を作出し、概日リズムに対する選抜が繁殖行動にどのような影響を与えるかを調べる予定であったが、選抜を行う際に、幼虫の死亡率が高かったため、系統の確立および実験を行うことができなかった。そこで、24年度から25年度にかけて、概日リズム選抜をかけていない個体を用いて、闘争行動の日周変化を調べた。その結果、本種のオス間闘争は明期後半に最もよく観察された。したがって、本種のオスの攻撃行動は、概日リズムの影響を受けていることが示唆された。本研究の結果は、国際誌『Entomological Science』に受理された。 また、本種の性選択について、闘争行動以外にほとんど知見がないため、本種の配偶者選択についても実験を実施した。メスの配偶者選択で支持される形質と、配偶者選択によってメスがどのような利益やコストを受けているかを調査した。半きょうだい解析の結果、オスの魅力度は求愛率、武器形質サイズと正の遺伝相関を持っていた。また、オスの魅力度と求愛率、武器形質サイズは有意な遺伝分散を持っていた。したがって、魅力度の高いオスとの交尾は、メスにとって、繁殖成功度の高い息子を得るという間接的利益があることが判明した。本研究の結果は、国際誌『PLo SONE』に掲載された。 さらに、本種の求愛率と体サイズ、武器サイズの関係を調べたところ、求愛率は体サイズ、武器サイズと負の相関を示していた。これは、闘争能力の低いオスはより求愛行動に投資するという代替繁殖性術を採っている可能性を示唆している。この結果は、国際誌『Entomological Science』に投稿され、改訂後受理という回答を得ている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
系統の選抜には失敗したが、闘争行動に日周性があることを明らかにできた。また、本種のメスの配偶者選択やオスの代替繁殖戦術についても新たな知見を得ることができた。論文も、国際誌に2本受理され、さらにもう1本も改定後の受理という回答を受けている。従って、当年度はおおむね順調に進展したと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
本種の求愛行動についても、概日リズムの有無を調べる。また、時計遺伝子の下流で概日リズムの発現に関わっている生体アミンが、本種の繁殖高度に与える影響も調べる。さらに、RNA干渉法を用いて時計遺伝子をノックダウンした個体を作出し、闘争行動や求愛行動等の繁殖行動や、生体アミンの発現量のリズムが失われるかどうかを調べる予定である。
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Research Products
(7 results)