2013 Fiscal Year Annual Research Report
動機づけられる対象の違いが目標達成時の認知制御の負担に及ぼす影響
Project/Area Number |
12J05193
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
後藤 崇志 京都大学, 教育学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 自律性 / 認知制御 |
Research Abstract |
昨年度に引き続き、動機づけの自律性と自我枯渇に着目した研究を行った。自我枯渇はひとたび認知制御を働かせることによって後続の場面で認知制御が阻害されてしまっている状態を指し、「認知制御の負担」が反映された概念である。自我枯渇が引き起こされる背景には、有限な心的資源の消耗があると仮定されていた。しかし近年では資源の存在を仮定しなくても、動機づけの低下のみによって説明できるという議論もあり、「認知制御の負担」を反映しているという見方を疑問視する立場もある。そこで申請者は、自我枯渇を生じさせた群、自我枯渇を生じさせて報酬の操作を加えた群、自我枯渇を生じさせていない群の3群を設定し、認知負荷が異なる状況下での認知制御課題の成績を比較する実験を行った。その結果、認知負荷が低い状況では報酬によって課題成績が向上し、認知負荷が高い状況では報酬の有無にかかわらず自我枯渇によって課題成績が低下していた。この結果は、自我枯渇には動機づけの低下のみではなく、疲労のような他の要因の影響がみられることを示唆しており、「認知制御の負担」を推定する概念として自我枯渇に着目することの妥当性を支持するものである。 他方の検討対象の概念である動機づけの自律性はある行動をとる価値が自己の内面と統合されている程度を指す。自律性は、研究計画における「動機づけられる対象の違い」に対応する概念である。先行研究からは、動機づけの自律性が高いほど自我枯渇が抑えられ、目標を達成しやすいことが知られる。しかしなぜ自我枯渇が抑えられるのかについては明らかでない。そこで、動機づけの自律性が認知制御に及ぼす影響について検討すべく、3つの予備実験を実施した。次年度はこれらの予備実験に基づいて、本実験を実施する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究の主な目的であった動機づけと認知制御の負担の関連に関する実験で、手続きの改善に時間がかかったために予備実験に留まっており、本実験に移行できなかったことからやや遅れていると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
予備実験の結果に基づいて動機づけと認知制御の関係に関わる仮説モデルを修正し、新たなモデルに基づいて調査・実験の両面から検討を行う。
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Research Products
(4 results)
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[Presentation] Reward does not completely compensate for ego depletion : Findings from the self-control task under different cognitive load conditions.2014
Author(s)
Goto, T., Himichi, T., Kurosu, S., Ichimura, K., Iwama, S., Nishi, T. & Kusumi T.
Organizer
The 15th Annual Meeting of Society for Personality and Social Psychology
Place of Presentation
Austin, TX, USA.
Year and Date
2014-02-15
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