2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12J05235
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
熊崎 亘平 名古屋大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 宇宙磁場 / 電波観測較正法 |
Research Abstract |
2年目の計画は、銀河間磁揚測定のための宇宙磁場断層解析法の確立であった。1年目において構築したコードとそれを用いて行った単純銀河モデルでのシミュレーションをさらに発展させるために、Australian Square Kilometer Array PathfinderプロジェクトのPOSSUMチームが主催するベンチマークテストに参加した。このベンチマークテストにおいて、Compressive sampling法やQU Fitting法などの多種多様な手法の長所・短所を洗い出し、手法のさらなる理解を深めることができたeその中で、我々の手法に今まで知られていなかった不確定性があることがわかった(RM ambiguity)。そのため、との不確定性にっいて精査し、不確定性が発生する条件を詳しく調べた。その結果、非常に限られた条件でしか発生しないものの、将来の大規模観測においても重大な磁場構造推定ミスを招く可能性を見出し、警鐘を鳴らした。この結果をまとめた論文をPASJ投稿し、今年度中に受理された。さらに、このベンチマークテストでの成果をもとに、伝統的な方法をさらに高める手法(Faraday tomography法+Phase RMC CLEAN法)の開発に成功した。この手法を用いれば、前述した不確定性の一部を取り除くことができ、さらに磁場情報の抽出精度を高めることができると期待されている。この成果も現在論文としてまとめている最中である。これらの成果を鑑みると、今年度も計画通りに研究は進んでいると評価することができる。加えて来年度の計画の準備段階として、単純銀河モデルでのシミュレーションではなく、現実的な銀河モデルを用いた磁場構造のシミュレーションデータを用い、我々の手法で複雑な構造をどれだけ精度よく抽出できるかを調査した。精度向上の定量的な評価は、計画通り来年度中に行う予定である。 また、前年度からオランダ・フローニンゲン大学にて行ってきた、電波干渉計観測データ較正アルゴリズムの誤差評価の研究も引き続き行った。現在Low Frequency Arrayプロジェクトの再電離グループによって採用されているSAGE較正法を用いれば、系外銀河や系内の電波源を望遠鏡の性能で決まる観測誤差以下のレベルという非常に高い精度で除去することができることがわかった。さらに同研究内で、同じSAGE較正法を用いながら、その適用順を工夫することで精度の向上が認められることを初めて示した。これらの結果は現在論文執筆中である。 これらの研究成果は、複数の国内外研究会議で発表を行い、非常に有意義な議論も同時に行った。以上のように、2年目の研究も1年目の研究に引き続き、当初の計画通りか、それ以上に進んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2年目の目標は、銀河間磁場測定法のひとつ、宇宙磁場断層解析法の確立であった。前年度にてコード化された宇宙磁場断層解析法の精度向上について研究・検証を進め、この方法に潜在する今まで知られていなかった問題点を見出すなどの成果を上げた。これらを鑑み、概ね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目までに単純な銀河モデルだけではなく、より複雑で現実的な銀河モデルでのシミュレーションと、それを用いた擬似観測を行うことができた。今年度はそれらの擬似観測データの解析を行い、我々の手法によって得られる磁場データと実際の磁場データを比較することで、複雑な磁場構造でもどの程度の解析精度を実現できるかの検証と、方法に潜在する特性のさらなる解明を主に進めていく計画である。
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Research Products
(9 results)