2013 Fiscal Year Annual Research Report
重度自閉性障害のある乳幼児への日常環境内早期発達支援:長期縦断研究
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12J05248
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
近藤 鮎子 慶應義塾大学, 社会学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 自閉症 / 応用行動分析 / 特別支援教育 / 支援者養成 / 早期発達支援 |
Research Abstract |
1 : J-PRT支援者養成 : 日本の現場で運用可能な自閉症児の日常環境内早期発達支援パッケージであるJ-PRTを家庭環境内で運用し、自閉症スペクトラム障害のある子どもを家庭内で支援できるセラピストの知識と技術を高めるための3ヶ月間のトレーニングプログラムを開発し、その効果を、事前事後評価法を用いて検証した。3名の大学生がセラピストとして参加した。全ての参加者で、事前評価と事後評価を比べて事後評価の知識テスト得点が向上した。内訳を分析すると、セラピストA, Bでは「場面作り」「先行刺激」「強化刺激」といった、トレーニング中に獲得した支援の技術が知識テストに反映された。セラピストCは、トレーニング開始前は全体的に知識が少なかったが、事後評価時にはセラピストA, Bと同等の知識を身につけたといえる。これにより、3ヶ月間の集中したトレーニングがセラピストのどの部分の知識を向上させるかを明らかにすることができた。 2 : 遠隔地支援システムの開発 : 昨年度から、2年間に渡り、鳴門教育大学附属特別支援学校と断続的に共同研究を行ってきた。昨年度は、開発した短期研修プログラムを用いて、慶應義塾大学で中心となる4名の教員に直接トレーニングを行い、直接トレーニングを受けた教員が学校に帰って他の教員向けに伝達研修会を開催した。今年度は2年目であったが、昨年度の短期研修プログラムに参加した教員2名の他4名に直接トレーニングを行い、伝達研修会も高等部向けの短縮研修会や教育実習生向け研修会、地域の小学校への出張研修会、夏期公開研修会などが実施され参加者がのべ61名にのぼる等、更なる広がりをみせた。また、希望があった教員にむけて、授業の実際の様子をビデオで録画し、その動画を共有した状態でSkypeを用いたテレビ会議で議論やフィードバックを行った。この2年間の遠隔地支援によって、大学と遠隔地施設と間の支援システムを確立することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
以下の2点の理由から、おおむね順調に進展していると判断した。(1) J-PRTを用いた3ヶ月間の支援者プログラムの効果を検証できた。(2) 2年間の継続的共同研究によって、遠隔地支援システムの1つのモデルが確立し、その効果を確認できた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、NIRSを用いた脳機能計測や、視線測定に取り組んでいく。装置への適応が難しい子どもに対しては、無理をせずに、発達検査や各種行動データを継続的に観察することでJ-PRTの効果を測定していく。
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Research Products
(3 results)