2012 Fiscal Year Annual Research Report
tRNAへの正確な硫黄修飾を行うための機能構造基盤
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12J05280
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中川 裕文 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | tRNA / X線結晶構造解析 |
Research Abstract |
tRNAはDNA上の遺伝暗号とアミノ酸を対応させるアダプター因子として働く。tRNAはゲノムから転写された後、様々な修飾を経て成熟化し機能する。様々な修飾の中でウリジン2位の硫黄修飾はコドン・アンチコドン塩基対やL字型の3次元構造を安定化し、正確な翻訳を行うために必要である。真核生物の細胞質ではNcs6・Ncs2複合体がアンチコドン34位の硫黄修飾を担い、修飾が必要なtRNAおよび34位ウリジンを選別し修飾を行っている。その反応メカニズムや特異性を構造に基づいて明らかにするため、当該年度は試料調製に取り組んだ。Ncs6・Ncs2複合体の大量発現・大量精製の手法を確立し、調製したNcs6・Ncs2複合体はtRNAと複合体を形成することを確認した。機能解析を行うために、修飾に用いられる硫黄を輸送する際に関わる上流の因子群についても試料調製の手法を確立した。また、高度好熱菌ではNcs6と相同性の高いTtuAがTループ54位の硫黄修飾を行っている。TluAのX線結晶構造解析にも取り組み、得られた結晶から回折データを収集した。ヨウ素を加えた結晶からの回折データも収集し、単波長異常散乱法によりTtuAの構造を分解能2.1Åで決定した。TtuAは2量体構造をしており、単量体ごとに2つの亜鉛フィンガーと触媒ドメインから構成されていた。触媒ドメイン中の活性部位と予想される箇所にはATP結合モチーフと3つのシステイン残基が存在し、これらはNcs6とTtuAともに保存された配列であった。変異体解析をもとに、TtuAのATP結合部位とシステイン残基は実際に硫黄修飾に関与することが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
真核生物細胞質のNcs6・Ncs2複合体についての試料調製に成功した。また、好熱菌の硫黄修飾に関わるTtuAについて構造を決定し、構造をもとにした変異体解析から硫黄修飾に重要な部位を明らかにした
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Strategy for Future Research Activity |
真核生物細胞質のNcs6・Ncs2については、まだ得られていない構造解析のために必要な結晶を得るために、不安定な領域をなくした発現コンストラクトを作成し、結晶化スクリーニングを行う。それでも得られないようであれば、他の生物種についても試してみる、発現ホストの検討を行う。 硫黄修飾の機能解析を行うための条件検討を行う。
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Research Products
(3 results)