2012 Fiscal Year Annual Research Report
遷移金属錯体を用いた窒素求核剤によるアルコール類の直接的不斉置換反応の開発
Project/Area Number |
12J05297
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中原 靖人 大阪大学, 基礎工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | マクロサイクル / 水酸基 / 触媒 / 直接変換反応 |
Research Abstract |
まずはルイス酸の不斉配位子として、マクロサイクルを用いて研究を行った。キラルなマクロサイクルを合成した。 しかしながら、これらの配位子は溶解性が低く、金属を有した錯体を均一触媒として用いるには困難であることがわかった。そこで、最も溶解性の高かったシクロヘキシル基を有する配位子を用いて様々な金属を中心金属として反応性の検討を行うこととした。その結果、配位子を用いない場合に活性を示したものの、配位子を用いて検討を行ったところ、反応性が大きく低下したことがわかった。そこで、より高活性な触媒を検討するため第1級アルコール類の直接的変換反応に着手することとした。 触媒として亜鉛触媒を、アルコールに4-メトキシベンジルアルコール、求核剤にインドールを用いて検討を行った。まずは触媒として、当研究室で開発したトリフルオロ酢酸架橋亜鉛4核クラスターを用いて検討を行ったところ、目的の化合物を約50%収率で得ることに成功した。またアルコールの転化率は>99%と非常に高く、反応の制御を行うことで目的の生成物のみを得ることができると考えた。 そこで、他の様々な亜鉛触媒およびアルミニウムトリフラートを用いて検討を行った結果、トリフルオロ酢酸架橋亜鉛4核クラスターが最も良い触媒であることがわかった。現在基質一般性の拡大を行なっているところである。本触媒系が達成された場合、ルイス酸触媒による第1級アルコールの直接変換反応は酸化還元活性のない触媒では初めての例であり、脱水素一水素化によって進行する他の触媒系とは異なる基質一般性を達成することが可能であるため、有機合成化学だけでなく創薬化学、工業化学にとって重要な反応である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
初期検討としてキラル配位子の検討を行ったが、不斉を発現させるためにはより活性の高い触媒を必要とすることを見出した。触媒探索を行った結果、当研究室で開発したトリフルオロ酢酸架橋亜鉛4核クラスターをもちいることで良好な結果を得ることに成功した。当初の計画から若干の修正は必要であるが、予定以上に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本触媒系が達成された場合、ルイス酸触媒による第1級アルコールの直接変換反応は酸化還元活性のない触媒では初めての例であり、脱水素一水素化によって進行する他の触媒系とは異なる基質一般性を達成することが可能であるため、有機合成化学だけでなく創薬化学、工業化学にとって重要な反応である。そのため、本研究は非常に重要であり、これから本触媒系に適用できる基質一般性の拡大を行なっていくことで本触媒系がより有用になる。しかしながら現在の検討結果から、反応の制御をより高度にする必要があるため、配位子およびカウンターアニオンを用いてルイス酸を調節し、高選択的に反応が進行する条件を検討する必要がある。
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