2012 Fiscal Year Annual Research Report
ミトコンドリア呼吸鎖複合体III会合における分子シャペロンBcs1pの機能解析
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12J05322
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
澤村 理英 熊本大学, 大学院・医学教育部, 特別研究員(DC2)
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Keywords | Bcs1p / 分子シャペロン / ミトコンドリア / 呼吸鎖複合体III |
Research Abstract |
Bcslpは呼吸能不全を示す出芽酵母から同定されたミトコンドリア内膜に局在する分子シャペロンである。細胞内のエネルギー産生に重要な呼吸鎖複合体のうち、シトクロムbc1複合体(複合体III)の会合、特にRieske鉄硫黄タンパク質(Riplp)の複合体III中間体への組込みに必要であることが分かっているものの、詳細なメカニズムはほとんどわかっていない。 このメカニズムについて詳細を明らかにするため、本年度は以下の二項目について研究を進めた。 1.BcslpおよびLonプロテアーゼ二重欠損株において非会合Riplpが蓄積する 非会合Riplの所在を明らかにするため、ミトコンドリアに存在する4種それぞれのプロテアーゼ欠損株またはBcslpとの二重欠損株を作製した。そのうち、BcslpとLonプロテアーゼ(マトリクスに局在)を二重欠損した場合、非会合Riplpの蓄積が見られた。また、その時のRiplpのmRNAの転写量を測定したところ、両者に違いは見られなかった。つまり、Bcslp欠損株の場合、非会合Riplpはおそらくマトリクスに蓄積し、Lonプロテアーゼによる分解を受けることが示唆された。 2.BcslpのN末端は基質との相互作用に必要である可能性が示唆された 本年度までの研究により、膜間部に突出しているN末端領域はBcslpの機能に重要な役割を担っていることが分かっている。様々な実験の結果、N末端38番目の残基以降がBcslpの機能に重要であることが予想された。さらに、BcslpのN末端との相互作用因子を同定するため、光架橋法およびクロスリンカーを用いた架橋実験を行った。その結果、クロスリンカー使用において正38変異株でのみ見られず、野生株で見られるクロスリンクのバンドが確認できた。このことから、やはりBcslpのN末端はBcslp自身の機能に重要であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請内容で目標としている内容に則った成果を出すことができているため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はクロスリンカー使用においてL38変異株でのみ見られない、野生株もしくはC末端側変異株で見られるクロスリンクのバンド(N末端領域と相互作用している因子であることが推定される)について、そのバンドが何であるかを明らかにするため、MSでの同定を視野に入れ研究を進める予定である。
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