2012 Fiscal Year Annual Research Report
カイコ絹糸腺での領域特異的遺伝子発現の分子基盤とホメオボックス遺伝子の機能解析
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12J05323
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
木本 舞 北海道大学, 大学院・生命科学院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 領域特異的遺伝子発現制御 / カイコHox因子 |
Research Abstract |
本研究の目的は、絹糸遺伝子の発現制御機構の解析を通して、Hox因子を含むホメオドメイン転写因子のカイコ絹糸腺における機能と、未だ不明確なHox因子の特異性発揮メカニズムを解明することにある。sericin-1は中部絹糸腺特異的に発現する絹糸遺伝子の一つで、上流のホメオドメイン結合配列を含むプロモーターエレメントにsericin-1の発現と対応して検出される因子MICが結合する.これまでの研究で、絹糸腺ではHox因子を含むいくつかのホメオドメイン転写因子が領域特異的に発現することを明らかにした。その中で、HQX因子Antpは中部絹糸腺特異的に発現していた。更に、DNA結合実験において、抗Antp抗体がMICと特異的に反応したことから、MICにはAntpが含まれることが示された。トランスジェニックカイコを用い、幼虫でAntpを強制発現したところ、本来発現のない後部絹糸腺においてsericin-1のectopicな発現が誘導され、Antpがsericin-1の活性化因子であることが明らかになった。分化組織においてHox因子により直接的に制御されることが明らかになった遺伝子として、sericin-1は数少ない例である。また、MICにはAntpの他にTALEホメオドメインファミリーの因子ExdやHthも含まれることが示唆された。絹糸腺においてAntpはExd、Hthと複合体を形成しDNAへの結合特異性を高めるとともに、cofactorの発現領域の違いによっても、sericin-1発現の領域特異性が制御されることが考えられた。今後、Antp/Exd/Hth複合体がどのようにDNAへの結合特異性を決定しているか、sericin-1と後部絹糸腺特異的なfibroinの区別を行っているかを調べることで、Hox因子の特異性発揮メカニズムの一端が明らかになると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した研究の目的として、「未同定因子MICの構成の解明、及び、絹糸腺におけるHox因子の機能解析を通して、Hox因子の特異性発揮メカニズムを明らかにすること」を挙げていた。現在までの研究で、MICにはHox因子AntpとcofactorのExd,Hthが含まれることを明らかにした。更に、トランスジェニックを用いることによりAntpがsericin-1の発現を活性化することを示した。
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Strategy for Future Research Activity |
中部絹糸腺で特異的に発現するsericin-1と、後部絹糸腺で発現するfibroinのプロモーターそれぞれに存在するホメオドメイン認識配列に対して、Antp及びAntp/Exd/Hth複合体の結合特性を調べる。また、ホメオドメイン結合配列に変異を導入したプロモーターを用いてレポーターアッセイを行い、Antp複合体の結合特性とプロモーター活性との関係を明らかにする。更にAntp以外のホメオドメイン因子の作用との比較により、Hox因子の特異性発揮メカニズムの理解を進める。
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Research Products
(3 results)