2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12J05328
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
杉浦 祥 東京大学, 大学院総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 量子統計力学 / 量子力学 / 孤立量子系 / 量子スピン系 / フラストレーション系 |
Research Abstract |
典型的な量子純粋状態の数値計算法の24年度の研究の結果、当該年度の目的であった「手法の開発」および「大規模数値計算への応用」は共に達成された。具体的には、まず前者は量子統計力学において、典型的な状態である熱的量子純粋状態(TPQ state)および、温度を指定した典型的な状態であるカノニカル熱的量子純粋状態(canonical TPQ state)を開発した。 後者に関しては、canonical TPQ stateを用いた数百万個の状態をコンピューターが同時に保持して行う大規模シミュレーションにより、カゴメ格子系上のスピン1/2反強磁性ハイゼンベルグ模型の比熱の振る舞いを明らかにした。 従来の研究では、ハミルトニアンの数値対角化により、系の大きさが18での計算結果までが得られていたが、本研究により従来のアプローチが困難な系の大きさが27、および30での解析を世界で初めて行い、低温側の比熱のピークが消失していく事を新たに発見した。 これらの研究は2本のPhysical Review Letter誌の論文として発表され、共に編集者のピックアップした論文であるEditors' Choiceに選ばれており、研究代表者(杉浦 祥)も日本物理学会の若手奨励賞を受賞するなど、内外の研究者からこれらの研究の重要性が認められている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
24年度の研究の目的である「手法の開発」および「大規模数値計算への応用」は共に達成されたのみならず、その過程において発見した新たな量子純粋状態(カノニカル熱的量子純粋状態)および計算手法とその応用まで完了したため。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、26年度の研究計画である「二次元ハバードモデルの数値計算」を実行するため、新たなアルゴリズムの開発をしている。 また、二次元ハバードモデルへの応用の下準備として、共同研究において、一次元ハバードモデルの研究を行っている。
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Research Products
(6 results)