2012 Fiscal Year Annual Research Report
空間認知における俯瞰視点と自己視点:空間情報の学習と想起
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12J05376
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
杉本 匡史 京都大学, 教育学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 空間認知 / サーベイパースペクティブ / ルートパースペクティブ / 認知地図 |
Research Abstract |
空間表象の表現形式としてサーベイパースペクティブとルートパースペクティブの2つが定義できる(Taylor & Tversky, 1992)。サーベイパースペクティブでは「AはBの南にある」の様に鳥瞰的な視点から東西南北を使って位置情報が表現される。それに対してルートパースペクティブでは「Bを後ろにして立つとAが前に見える」の様に自分の目線の位置から前後左右を使って表現される。この研究領域において,本年度は2つの研究を行った。 (1)ルートパースペクティブに影響を与える要因の検討を行ったよ本研究では空間表象の構築・想起の際に記述自体の連続性が与える影響について検討を行った。結果として,空間情報が連続的に提示されるかどうかということは,学習時よりもむしろ想起時にどちらのパースペクティブを使うかによって影響した。以上の研究について英文学術誌(Cognitive Processing)への投稿を行った。査読結果は不採択となったものの,査読者からのコメントを元にしてさらに内容を改善した実験を実施しており,こちらについては査読者からの指摘に十分対応できる結果を得ることができたため,再投稿へ向けて準備を進めている。 (2)(1)と並行して2つのパースペクティブへの選好を測定する質問紙を作成し,これらの表現への選好が空間探索時の方略として独立して存在するのかということを検討した。結果としてサーベイとルートという2つのパースペクティブに対する選好の存在について確認することができた。それに加えて,これら2つのパースペクティブへの選好によって空間情報学習や想起にどのような影響が与えられるのかを検討した。結果は予測と一致するものではなかったが,実験の問題点を精査した上で新しい実験の準備を進めている。さらにこの質問紙を用いて幅広い年代を対象にしたインターネット調査を行った。その結果として年齢と性別が2つのパースペクティブへの選好に与える影響が明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記(1)の研究については論文として投稿を行った。結果は残念ながら不採択となったが,再投稿に向けて準備が進んでいる。そのため(1)に関しては予測より達成度が遅れているものの,十分取り返せる程度であると考えている。また(2)の研究は予定していた質問紙の作成と眼球運動の測定だけでなく,インターネット調査を通して加齢と性差の面から検討を行うことができた。したがって(2)に関しては当初の計画以上に進展している。以上を勘案して,研究全体の達成度としてはおおむね順調に進行しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
上記(1)の研究について,本年度の早い段階で論文として再投稿を行う。論文投稿に必要なデータについては現在収集中である。また(2)についても追加で実験データを収集し,本年度中の論文投稿を予定している。(1)(2)の両方について中間報告的な位置づけとして,合計3つの学会で学会発表を行うことを予定している。
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