2012 Fiscal Year Annual Research Report
ヘテロティック弦によるワープコンパクト化-Taub-NUT結晶による方法-
Project/Area Number |
12J05404
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
矢田 雅哉 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 超弦理論 / ヘテロティック弦 / 交差NS5ブレーン / ケーラー多様体 |
Research Abstract |
本研究はヘテロティック超弦理論から素粒子現象論的な模型を造るという研究のなかでも特にNS5-ブレーンと言う高次元オブジェクトを有効活用することに主眼を置いたものである。特に2011年に行ったTaub-NUT結晶の研究[H. Imazato, S. Mizoguchi, M. Yata (2011)]での結果をより現実的なものとする、もしくは他の着眼点から眺めるということを目的としている。24年度の繰越研究では2012年に行った研究[S. Mizoguchi, M. Yata (2012)]の延長として超弦理論と非線形シグマ模型の間の関係性をシグマ模型側から論ずることを計画していた。しかし、希望していた海外渡航が受入教官側の都合により取り消しになってしまったので国内の大学施設を頼りに具体的な交差NS5ブレーン系の構築を調べることにした。 Taub-NUT結晶をより現象論的に扱うためには10次元中に交差NS5-ブレーンが格子状に並んだ系を仮定しなければならなかったが、そのような解の存在は今まで確認されていなかった。そこで、そのような解を具体的に確認するために既存のlocalCalabi-Yau多様体のT双対操作によりできるかどうかについて検証を行った。具体的には6次元多様体としてCalabi空間を採用し、この空間に対してT双対を行い5ブレーンの解となりえるかどうかにっいて検証を行った。この空間を選択した理由はCalabi空間が4次元のhyperKahler多様体として知られているEguchi-Hanson空間を6次元空間に拡張した解であり、Eguchi-Hanson空間のT双対が2枚のNS5-ブレーンが平行に並ぶ系にあたることから、Calabi空間のT双対は交差NS5-ブレーンがバルク中に並ぶ解になると予想できたからである。しかし、残念ながらCalabi空間のT双対からは期待される交差NS5-ブレーン系は得られなかった。原因は元の多様体に5ブレーン電荷の源となるモノポール電荷がなかったことであり、今後同様な操作でブレーン解を得るためにはモノポール電荷を運ぶための対称性を含んだ多様体を選択しなければならないことが解った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
個人的な経験不足から国内での研究協力者を探すのに手間取ってしまい、年度内中に論文を執筆することができなかった。しかし、研究成果としての結果は既にできており、これについては25年度の国内学会で発表をすることができたので、遅れてはいるものの着実に研究は進んでいると評価できる。まずは、ここで発表した内容を論文にすることを目標にしたい。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度までの研究計画にもあつた負張力の交差NS5-ブレーンの構築という目標も含めて、本年度の研究では具体的なNS5-ブレーン解をT双対により生み出すための法則性を知ることができた。あとは元になる適当な6次元多様体さえあれば新しい交差NS5-ブレーン解を造ることができるが、問題は6次元の具体的な多様体についてあまり計量は知られていないという事実がある。今後の研究課題はCalabi空間に準ずるような6次元空間の具体的な計量を探ることになるが、既にいくつか候補はある。これら候補のT双対がどのような重力解になるのかを検証し、仮に目標とするブレーン解が得られなければ、これらの経験を基に新しく重力解を導く方法を模索していく予定である。
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Research Products
(2 results)