2012 Fiscal Year Annual Research Report
Methanosarcina属アーキアにおける膜内在性電子キャリアの生合成
Project/Area Number |
12J05479
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小川 拓哉 名古屋大学, 生命農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | メタン生成アーキア / メタノフェナジン |
Research Abstract |
1.Methanosarcina mazeiゲノムからゲラニルファルネシル基転移酵素(GFT)をコードすると予想される遺伝子クローニングし、メタノール資化性酵母を宿主とした発現系を作製した。その結果、組換えタンパク質の発現に成功したため、同タンパク質を精製した後、ゲラニルファルネシル二リン酸(GFPP)とフェナジン類縁体を基質としてアッセイを行った。目的の転移活性は確認されなかったが、同組換えタンパク質はGFPPに対して脱リン酸活性を示した。推定GFTのホモログであるUbiAプレニル基転移酵素においても副反応としてプレニル二リン酸に対する脱リン酸活性が報告されており、今後も推定GFTの活性を検討する必要がある。 2.ゲラニルファルネシル基還元酵素(GFR)の基質と推定されるGFTの反応生成物が得られなかったため、呼吸鎖キノン生合成に関わるプレニル基還元酵素(PR)の機能解析を先行して行った。数種の生物種から推定PR遺伝子をクローニングし、その大腸菌発現株を作製した。現在、同菌株を用いたin vivo実験、および精製組換えタンパク質を用いたin vitro実験を実施中である。なお、推定GFRの発現系構築、大量発現および精製に成功しており、今後、同組換えタンパク質の活性測定を予定している。 また、アーキア膜脂質生合成酵素の探索において見出したMethanosarcina acetivorans由来ゲラニルゲラニル基還元酵素の機能解析も行った。同酵素はGFRやPRといった還元酵素に相同性をもたない新奇酵素であり、新奇構造化合物の創出に役立つと期待される。同酵素の大腸菌大量発現株の作製、および組換え酵素の抽出・精製が完了しており、現在、同酵素の基質特異性と生理的役割の解明を進めている。 3.遺伝子破壊が可能とされるM.acetivoransを用いて、推定メタノフェナジン生合成遺伝子の破壊株の作製に取り組んだ。現在までに目的の遺伝子を欠損した株は得られておらず、引き続き破壊株の取得を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初作製した推定GFT大腸菌発現系が機能せず、組換えタンパク質の取得に時間を要した。また、メタノフェナジン生合成中間体についてはほとんどが不分明であり、フェナジン類縁体を基質として組換えタンパク質の活性を評価したが、この反応条件ではGFT活性は見出されなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
推定GFTおよび推定GFRの活性を評価するには生理基質の探索が不可欠である。そこで、Methanosarcina属アーキアの菌体破砕液を用いて、組換えタンパク質との反応性を検討する予定である。これと並行してM.acedvoransの遺伝子破壊株の作製に取り組み、メタノフェナジン生合成に関わる酵素および中間体の同定を目指す。メタノフェナジン生合成酵素の探索が終了し次第、それらの特性評価を行う。
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