2013 Fiscal Year Annual Research Report
がん特異的スマートナノキャリア:細胞内シグナル異常に基づく高安全性遺伝子治療法
Project/Area Number |
12J05483
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
金 燦宇 九州大学, 工学研究院, 特別研究員(PD)
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Keywords | 遺伝子デリバリー / プロテインキナーゼ / 遺伝子導入 / 癌 |
Research Abstract |
効率的な遺伝子治療を達成するために、より優れた遺伝子デリバリー技術の開発が不可欠である。本研究では、直鎖型のポリエチレンイミン(LPEI)に対してカチオン性ペプチドをグラフトした遺伝子キャリア(LPEI-peptide)を用いた、癌特異的な遺伝子デリバリーを行うことを目的としている。LPEIは、プロトンスポンジ効果によりエンドソームからの脱出能が向上することが期待される。カチオン性ペプチドは、癌細胞において特異的に活性化していることが知られているプロテインキナーゼCα(PKCα)の基質ペプチドである。LPEI-peptideは、カチオン性ペプチド部位を持つため、アニオン性であるDNAと静電相互作用によりポリイオンコンプレックスを形成する。この複合体がリン酸化されると、カチオン性ペプチド部位にアニオン性であるリン酸基が導入されるため、複合体が不安定化し、崩壊する。これにより、癌細胞特異的な遺伝子の放出が期待される。合成したpeptideやLPEI-peptide、LPEI-peptide/DNA複合体については、MALDI-TOF-MSやHPLC、NMR、ゼータ電位測定などの測定を行い、基礎的な物性を評価した。本年度は、癌細胞で異常に活性化しているPKCα応答型ポリマーを用い細胞および動物において、遺伝子発現を制御できるかの成否について検討した。治療用の自殺遺伝子を含むDNAと、本研究で提案したLPEI-peptideを用いることで、癌細胞特異的な遺伝子治療を行い、良好な結果が得られた。これらの結果は、現行の遺伝子キャリヤーでは困難であったガン細胞特異的な遺伝子発現を、LPEI-peptideを用いることで、癌細胞特異的な遺伝子治療の達成が期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の主な目的は、本研究で合成したLPEI-peptide及び遺伝子キャリアとしてのLPEI-peptide/DNA複合体のPKCαに応答した癌細胞特異的な遺伝子発現の評価と、治療用の自殺遺伝子を含むDNAを用いることで、治療効果の評価である。本年度は、本研究で提案したLPEI-peptideを用いることで、癌細胞特異的な遺伝子治療を行い、良好な結果が得られた。以上の理由により、本研究はおおむね順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、in vivo実験で局所投与による評価しか行っていない。これは、静脈からの全身投与では血中のアニオン性タンパク質との相互作用やせん断応力により複合体が解離し遺伝子発現が確認できないからである。今後は、このシステムを用いた全身投与可能なキャリヤー開発が重要であるが、まずは血中においても解離しないようなキャリヤーの設計がカギを握っているであろう。
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Research Products
(9 results)