2013 Fiscal Year Annual Research Report
TRPCチャネルタンパク複合体形成の生理的意義の解明
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12J05497
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
北島 直幸 九州大学, 大学院・薬学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 受容体作動性カルシウムチャネル / 心臓リモデリング |
Research Abstract |
「TRPCチャネル群が複合体を形成する意義をシグナル伝達の観点から明らかにすることで, 心臓におけるTRPCチャネルの生理的役割を確立する」ことを目的とし, 平成25年度は以下の実験を行った. ①TRPC3またはTRPC6欠損マウス心不全モデルの機能解析 TRPC3またはTRPC6欠損マウスを用いて横行大動脈狭窄モデルを作成し, 心不全モデルを作成した. 作成後, 毎週, 心エコー法により心形態の観察, 6週間後に心臓カテーテルを用いた血行動態の観察により心機能を測定した, TRPC3およびTRPC6欠損の両群において野生型に比べ, 横行大動脈狭窄による心機能低下を改善した. さらに, 組織切片を作成し, 心筋細胞面積およびコラーゲンの蓄積を観察した結果, 心肥大は抑制すること無く間質の線維化をTRPC3またはTRPC6欠損で抑制されていることが観察された. ②TRPC3活性化による心線維化誘導のメカニズム解明 ラット新生児心筋細胞を用いた検討から, メカニカルストレッチ下において線維化シグナルに重要な役割を果す低分子量Gタンパク質RhoAが活性化を介して心線維化のマーカー遺伝子群の発現を誘導していることがわかった. メカニカルストレッチによるRhoAの活性化はTRPC3選択的阻害剤により抑制されたことから, TRPC3の活性化依存的に心線維化が誘導されることが示唆された. ③成獣マウス心筋細胞単離の系の確立ならびに, TRPC3およびTRPC6の局在確認 成獣マウスの心筋細胞をコラゲナーゼ灌流法により単離する方法を確立した. 単離した成獣マウス心筋細胞を用いて, TRPC3およびTRPC6の心筋細胞における局在を観察したところ, 共にT管に局在していることが観察された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
TRPC欠損マウスを用いた心不全モデルを作成し, その機能評価や心臓リモデリングに対するTRPCチャネルの関与メカニズムを調べることを本年度の目的としていたが, その全てが達成されているので, 概ね順調に研究は進展していると評価できる.
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Strategy for Future Research Activity |
TRPCチャネルの活性化を介した心臓の線維化を誘導するメカニズムの詳細を解明する. さらに, TRPC3とTRPC6は複合体を形成することが報告されているが, その複合体がどのように心臓の線維化に関与するのかを解き明かす. 本研究課題の総括を国際誌に発表を行う.
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