2013 Fiscal Year Annual Research Report
アセチルCoAを選択的に検出する蛍光プローブを用いた細胞内代謝の可視化解析
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12J05559
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
高嶋 一平 九州大学, 大学院薬学研究院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 蛍光イメージング / アセチルCoA / Photo-induced Electron Transfer |
Research Abstract |
アセチルCoAは細胞内に比較的高濃度で存在するポリリン酸種であり、クエン酸回路、脂質合成などの生体内代謝における重要な生体内基質分子である。細胞内アセチルCoAの濃度変動は細胞増殖に伴って起こるため(数μMから数十μMレベルの変化)、細胞の代謝状況の亢進や減衰を捉える有用なパラメーターとなり得る。一方で細胞内アセチルCoAの解析は、もっぱら細胞破砕後のHPLC分析に頼っているのが現状であり、アセチルCoAを簡便に検出できる蛍光プローブ開発例は全くない状況にある。本研究では、このような状況の中で蛍光プローブを用いたアセチルCoAの蛍光イメージングによって細胞の代謝状態を可視化解析することを目的とする。 筆者は昨年度までにチオール基を触媒として蛍光色素に直結したアミノ基にアセチル基を転移することにより蛍光変化する新規機構を見出し、アセチル基転移を蛍光検出可能なアントラセン型蛍光プローブの開発に成功した。さらに昨年度は本機構をより長波長で励起可能なフルオレセイン型やローダミン型蛍光プローブの開発を目指して研究を行ってきたが、その開発は未だ途上である。その原因として本研究中で偶然に亜鉛イオンに対する蛍光レシオプローブや過酸化水素を検出可能な蛍光プローブを見出したことからこれら検出系の確立に注力したためである。これら別の研究は既に完了したため、本年度は本研究テーマを再開して集中して取り組むことにより目標の達成が可能であると考える。 さらに今後は開発した蛍光プローブを用いて細胞内アセチルCoAの濃度変動とタンパク質のアセチル化修飾率との相関についても検討を行う。細胞内アセチルCoAの濃度変動がどのように細胞代謝や細胞堆殖と相関しているのかを検討することで、細胞代謝のしくみや制御機構を解明する新たな知見を得られると期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度は本研究の間に他の研究テーマ(亜鉛イオンの蛍光レシオ検出, 過酸化水素の蛍光レシオ検出)を創出し、これら検出系の確立を優先して研究を行ってきた。しかし、その研究テーマについては既にほぼ完了し、本年度は本研究を再開して集中して取り組むことで目標の達成が可能であると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
上述のとおり、本研究を再開し集中して取り組む予定であり、既に合成する分子の設計を完了している。本年度は本分子を合成するとともに細胞内のアセチルCoA検出に適した分子構造(細胞膜透過性など)へと構造最適化を実施する。さらに今後は開発した蛍光プローブを用いて細胞内アセチルCoAの濃度変動とタンパク質のアセチル化修飾率との相関についても検討を行う。
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Research Products
(5 results)