2013 Fiscal Year Annual Research Report
レアメタルの高効率分離を目的にした分子設計指針に基づいたイオン液体分離系の構築
Project/Area Number |
12J05560
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
馬場 雄三 九州大学, 工学研究院, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | レアメタル回収 / 溶媒抽出 / ポリマー包含膜(PIM) / イオン液体含浸液膜 / トリ酢酸セルロース / コバルト / スカンジウム / 希土類金属 |
Research Abstract |
本研究は、"イオン液体"を抽出媒体とした高度なレアメタル分離系を構築することを目的として展開するために、イオン液体への溶解性が高く、優れた金属分離性能を有する抽出剤、もしくはそれ自身が溶媒となり抽出剤ともなる多機能性イオン液体を調製し、抽出能の評価を行うことを目的とする。 本年度はまず、昨年度までに開発したN-[N, N-di(2-ethylhexyl) aminocarbonylmethyl] glycineを用いて各種金属に対する選択性を検討した。様々な金属、特に希土類金属を中心に抽出性能を評価していき、本抽出剤特異的な傾向が示唆された。希土類金属の中でも、特に、メタルハライドランプや航空宇宙分野での高強度材料等に含まれ、今後の需要が期待されるスカンジウム(Sc^<2+>)に優れた選択性を有しており、他のの希土類金属に加え、カルシウム(Ca^<2+>)等との分離が良好であった。 また、低環境負荷型の液膜分離プロセスに着目し、開発した新規抽出剤を用いた、レアメタルの膜分離プロセスへの応用の研究を行った。なかでも安定性の高い高分子包含膜(PIMs)に着目し、レアメタル(特に、希土類金属、ニッケル、コバルト)の高効率かつ環境調和型のレアメタル分離プロセスの構築を目指した。本抽出剤が高分子包含膜と親和性が良く、容易に導入出来ることを確認し、コバルトの能動輸送に成功し、また、膜の最適調製条件を検討した。開発した新規抽出剤を環境に配慮した膜分離プロセスに応用させることが可能となり、本研究を新たなステージへ進展させることができた。従って、本年度は抽出剤の分子設計、および低環境負荷型プロセス開発の両面から研究を行っていった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実用化できる新規のレアメタル抽出剤の開発と言う点では、論文発表、特許等も取得し、またその金属抽出剤により、特異的な金属抽出特性を複数確認しており、順調に進展している。さらには溶媒抽出だけでなく、膜分離プロセス等、別プロセスへの応用も可能となった。また、イオン液体中でも、同等の分離性能を示すが、しかし、イオン液体抽出系特有の抽出性の向上といった点までは進展していない。従って、今後はイオン液体との組み合わせで抽出分離性能を向上可能な系を構築していきたいと考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、分子設計し開発した抽出剤を用いて、プロセス面からも研究を進展させたいと考えている。液膜分離プロセスとして、イオン液体含浸液膜および高分子包含膜に着目し、これらへの応用の研究を検討していく。抽出剤の開発→溶媒抽出方法による金属選択性評価→吸着/膜分離プロセスへの応用という流れで研究を進展させる予定である。また、実用化も念頭にいれ、抽出剤の各種溶媒への溶解性等、各種基礎物性においても研究を進展させていく予定である。
|