2012 Fiscal Year Annual Research Report
遷移金属触媒による連続環化反応を用いた多環式インドール骨格の構築と応用
Project/Area Number |
12J05601
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岩田 顕 京都大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | スピロインドール / パラジウム触媒 / 連続環化反応 / プロパルギルクロリド |
Research Abstract |
含窒素複素環化合物は多くの生物活性天然物や医薬品に含まれる有用な基本構造である。中でもインドール骨格を有する縮環構造は、天然物ライク創薬テンプレートとして医薬品開発に広く適用されている。従来の合成法は、縮環型複素環骨格を段階的に構築するものが多いため、本骨格を一挙に構築する効率的な方法論の開発は極めて重要である。所属グループは、プロモアレンがパラジウム触媒存在下においてアリルジカチオン等価体として機能することを見出しており、この反応性を利用した多環式スルファミドの合成に成功している。報告者は、インドリルブロモアレンに対してパラジウムを作用させることで分子内のインドールと外部求核剤が連続的に反応し、多環性スピロインドール類が合成できるものと期待した。 最初にインドリルブロモアレンの合成を検討したところ、初期検討に用いる十分量のプロモアレンを合成することは困難であった。そこで、その合成等価体であるプロパルギル化合物を用いることとした。市販のGramineから数工程の変換を行い、インドリルプロパルギルクロリドを合成した。得られたクロリドに対し、パラジウム触媒を用いて種々検討を行ったところ、報告者の期待通りインドール3位、外部求核剤として用いたトシルアミドが連続的に付加し、四環性スピロインドールが良好な収率で得られることを見出した。 続いて、得られた最適条件下、少量ながら合成に成功したインドリルブロモアレンを用いたところ、目的の環化体は低収率に留まった。副生成物の解析から、SN2'型の反応の進行により目的の反応が抑制されたものと考えられる。さらに、炭素求核種であるジメチルマロネートを用いたところ、環化様式の異なる四環性スピロインドールが得られることを新たに見出した。現在、得られた結果を踏まえ反応機構の解明を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
報告者は予定していたパラジウム触媒による連続環化反応の検討を行い、多環性スピロインドール類が一挙に合成可能であることを見出したため。現在、これらの成果について論文を執筆中である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、昨年度に達成したパラジウム触媒による連続環化反応の開発研究を応用し、求核部位を複数有するインドールとプロパルギル化合物との分子間反応を行う予定である。予備検討において、副反応であるβ水素脱離反応の進行が優先された。この問題点の解決法として、β水素上に置換基を導入した基質を用いることで、望みの連続環化反応が優先すると考えている。 報告者は、上記の開発研究と並行してApparicineの全合成を計画している。Apparicine類は、インドール3位と3級アミンが1炭素を介して連結した特徴的な構造を有しており、強力な抗マラリア活性を示す天然物も存在する。既知のApparicine類の全合成経路は最終環化反応に改善の余地が残されている。報告者は今後、パラジウム触媒を用いたインドリルプロパルギルクロリドの連続環化反応を用いたApparicine基本骨格の一挙構築法の開発を行う。
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Research Products
(3 results)