2012 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロリアクターによる不安定有機金属種を活用するクロスカップリング反応の開発
Project/Area Number |
12J05642
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
森脇 佑也 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | フローマイクロリアクター / クロスカップリング / リチオ化 / ホウ素化 |
Research Abstract |
本研究の目的はフローマイクロリアクターを用いた不安的有機金属種の直接的利用に基づく効率的な新規クロスカップリング反応系の開発を行うことである。具体的には不安定有機リチウム種の利用、不安定遷移金属錯体の発生とその触媒としての利用による新規クロスカップリング反応の開発を目指し、研究を展開した。フローマイクロリアクターを用いて極めて不安定なアリールリチウムのホウ素化を行った。基質、反応温度、流量、滞留時間などの条件を検討した結果、従来のバッチ型反応器を用いた場合には非常に困難または不可能であるようなアルコキシカルボニル基、シアノ基、ニトロ基を有するアリールリチウムのホウ素化が可能であった。そこで次に高度に集積化されたフローマイクロリアクターを用い合成したボロン酸を直接鈴木-宮浦カップリング反応に利用し、多官能性ビアリール類の合成を検討した。新たに流量、滞留時間、塩基、触媒の検討を行ったところ目的のカップリング体が高収率で得られた。特に生成するボレートを直接カップリングに用いるため塩基の添加による活性化は不要であることが明らかとなった。さらに基質の検討を行ったところ、アルコキシカルボニル基やシアノ基を有するアリールボロン酸とアセチル基、ホルミル基、シアノ基、ニトロ基を有するアリールハライドとのカップリング反応がいずれも良好な収率で進行した。また、立体障害が大きく、より困難であると考えられるオルト位に官能基を有する基質も問題なく利用できることがわかった。本手法は機能性分子の骨格として有用な多官能性ビアリール類のワンフローでの迅速合成が可能である強力な手法と考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究においては当初の目的の1つである不安定有機リチウム種のクロスカップリング反応への利用として不安定有機リチウム種の有機ホウ素化合物への変換を達成している。さらには合成したボロン酸の直接利用によるワンフローでの多官能性ビアリール合成に成功している。多官能性ビアリールは機能性分子の骨格として極めて重要な分子でありその迅速合成を可能にしたことから本研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
本高速カップリング反応を機能性ポリマー合成などに応用する。その際にフローマイクロリアクターの特長である高効率な混合を活かしポリマーの分子量、構造の精密制御を目指す。また、一方でオキシラニルリチウムなどのより不安定な有機金属種を利用するカップリング反応の開発を行う。このような不安定有機金属種を反応に用いるためにはさらに高速に反応を進行させることが可能な次世代型触媒の開発が不可欠である。次世代型触媒の開発にもフローマイクロリアクターを積極的に導入し、従来のバッチ型反応器では効率的発生ならびに利用が困難な不安定遷移金属錯体を用いる検討を進める。
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Research Products
(8 results)