2013 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロリアクターによる不安定有機金属種を活用するクロスカップリング反応の開発
Project/Area Number |
12J05642
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
森脇 佑也 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | フローマイクロリアクター / 村橋カップリング反応 / 不安定有機リチウム / π共役ポリマー / 2-リチオオキセタン |
Research Abstract |
不安定有機リチウム種を直接利用するカップリング反応として、フローマイクロリアクターを用い、ジプロモアレーン類のハロゲン・リチウム交換反応によるモノリチオ化並びに村橋カップリング反応によるπ共役ポリマーの合成を試みた。本研究では発生させたモノリチオ化体をさらに安定なホウ素化合物等にトランスメタル化することなくカップリング反応に用いる検討を行っている。一般的にハロゲン・リチウム交換反応による有機リチウム種の発生には、その反応性の高さから-78度のような低温条件が必要であるが、フローマイクロリアクターを用いることで工業的にも容易に利用可能な0度での有機リチウム種発生が可能である。また、ハロゲン・リチウム交換反応により発生させた有機リチウム種を村橋カップリング反応に用いる際には種々の副反応が問題になることが以前の研究により明らかになっている。本研究では村橋カップリング反応を高速に行える遷移金属触媒をあらたに探索することで、全行程を0度以上で目的のπ共役ポリマー合成に成功した。合成されたポリマーは従来のバッチ型反応器を用いた場合よりも平均分子量が大きく、フローマイクロリアクターを用いる村橋カップリング反応の優位性が示された。 一方で、新たに利用可能な不安定有機リチウム種探索の一環として、2-リチオオキセタンの発生並びに反応への利用を検討した。その結果、本リチウム種はフローマイクロリアクターを用いることで従来法では困難な-40度での利用が可能であることが明らかとなった。さらに、種々の求電子剤との反応を検討したところクロロシラン、アルキルハライド、アルデヒドやケトンとの反応を中程度から高収率で行うことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
フローマイクロリアクターを用いることで発生させた不安定有機リチウム種を直接カップリング反応に利用することで機能性π共役ポリマーの合成が0度以上という工業的にも容易に利用可能な温度で達成されている。また、カップリング反応へ利用する新たな有機リチウム種の探索として2-リチオオキセタンの発生・反応がフローマイクロリアクター中で行えることを明らかにしているため。
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Strategy for Future Research Activity |
天然物や薬理活性物質に多くみられる含ヘテロアリール化合物を合成する際の問題点としてヘテロアリールボロン酸がカップリング反応条件下で不安定であることが挙げられる。これを解決するためヘテロアリールボロン酸をフローマイクロリアクター中で合成し、迅速にカップリング反応に用いる検討を行う。これを達成するためには高速に目的のカップリング反応を行える触媒の探索並びに開発が必要不可欠である。これまでに得られた知見を活かし、さらに有用な含ヘテロアリール化合物の効率的合成法開発を目指す。
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Research Products
(1 results)