2012 Fiscal Year Annual Research Report
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12J05741
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山口 洋平 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 素粒子実験 / ヒッグス粒子 / LHC / ATLAS実験 |
Research Abstract |
欧州原子核研究機構(CERN)に滞在しながらLHC-ATLAS実験に参加し、ヒッグス粒子の発見に貢献した。ヒッグス粒子は素粒子の質量の起源となり、標準理論で唯一未発見の粒子である。この新物理の発見は、標準理論を完成させるため、または標準理論を越えて新たな素粒子物理学のパラダイムを構築するために非常に意義深いものである。 特にヒッグス粒子が二光子に崩壊するモードを特に解析しており、このモードはヒッグス粒子の発見感度として最も大きいものの一つであった。この解析においては、π0粒子を含むjetが光子と誤って再構成される事象が、主要な背景事象の一つである。本研究員はこのようなjetと光子がtrackerに残す信号の違いを利用して、両者を分離する手法を新たに作り出した。さらにほとんどの実験の精度からくる系統誤差の評価を行い、また新しい光子のエネルギー較正の提案など、幅広い研究を行った。2012年6月に、様々な崩壊モードの解析結果を基にヒッグス粒子は発見されたが、二光子への崩壊モードはその中でも最もsignificanceの大きいものであったことからも、本研究者の貢献は非常に大きかったといえる。発見後はヒッグス粒子の性質測定を行っており、発見したヒッグス粒子が標準理論で予言されるヒッグス粒子であるか、質量はいくつかなど、性質測定を行うことで、標準理論のパラメータの決定、次の新物理の兆候の探索を行っている。 CERNでは多くの海外研究者と活発に議論を交わしており、ヒッグスを研究するグループ内での発表も数多く行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
目的であったヒッグス粒子を発見した。新たな解析方法の提案や、各系統誤差の評価、光子のエネルギー較正などを通じて発見に大きく貢献でき、研究は非常に順調であるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
既に目的であるヒッグス粒子の発見を遂げたので、今後はその性質測定が重要となる。すなわち、見つかったヒッグス粒子が標準理論で予言されたヒッグス粒子か、それとも予言から外れ、標準理論を越えた物理を要求するものなのか調べることが、今後の素粒子物理の一つのテーマといえる。二光子に崩壊するモードでの解析を続け、ヒッグス粒子の結合定数や質量といった、基本的なパラメータを決定していく。
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Research Products
(4 results)