2012 Fiscal Year Annual Research Report
ダイオキシンの毒性作用におけるピルビン酸キナーゼの意外な役割
Project/Area Number |
12J05844
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松田 俊 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | PKM2 / AhR |
Research Abstract |
H24年度の研究では、以下のことを明らかにした。 (1)PKM2はAhRとAhRリガンド依存的に相互作用する FLAG-HA-AhRを発現させたHeLaS3細胞の溶解液から、抗FLAG抗体を用いてFLAG-HA-AhRを免疫沈降したところ、インディルビン依存的に免疫沈降物からPKM2が検出された。この現象は抗PKM2抗体を用いた免疫沈降でも確認した。 (2)PKM2はAhR標的遺伝子CYP1A1の転写誘導を促進する HeLaS3細胞のPKM2をノックダウンした時、あるいはHepG2細胞でP田2を過剰発現させた時のCYPIAImRNA量を、リアルタイム逆転写PCR法で定量した。その結果、インディルビン曝露によるCYPIAIの発現量が、P阻2のノックダウンにより減少し、過剰発現により増加した。さらにP剛2の基質ホスホエノールピルビン酸(PEP)、あるいはPKM2の活性化因子フルクトース1,6-ビスリン酸(FBP)の曝露実験を行ったところ、HeLaS3細胞へのPEPあるいはFBPの単独曝露はインディルビン曝露によるCYP1A1の発現量を増加させ、PEPとFBPの併用曝露はCYPIAIの発現量を相乗的に増加させた。 (3)PKM2はAhR依存的にCYP1A1のプロモーターに呼び寄せられる HeLaS3細胞を用いたクロマチン免疫沈降実験により、PKM2はインディルビン依存的にCYP1A1プロモーターに呼び寄せられることが明らかになった。AhRをノックダウンしたHeLaS3細胞ではこの効果は減弱した。一方PKM2ノックダウンはAhRのCYP1A1プロモーターへの呼び寄せ量に影響しなかった。 以上の研究結果より、PKM2はAhRの転写活性化補助因子として働くことが示された。この研究結果は、胎児のダイオキシン類に対する高感受性のメカニズムを知る上で重要な知見になると期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
一年目の研究ですでに、その相互作用がダイオキシン受容体の活性化に必要であること、その相互作用はダイオキシン受容体の標的遺伝子のプロモーター領域で起こっていることを明らかにした。さらにそのメカニズムと意義についても仮説を立て、証明もかなり進んでいる。これは期待以上の研究の進展であり、今後さらなる発展が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
H25年度の研究ではPKM2がAhRによる転写誘導を促進する分子メカニズムを追求する。特に、PKM2が遺伝子プロモーターで、転写誘導においてどのような役割を担っているのかを明らかにしたい。具体的には、まずPKM2のノックダウンや酵素活性を持たない変異体を用いて、PKM2とAhR標的遺伝子プロモーター上のヒストン修飾の関係を明らかにする。ついでそのメカニズムについて仮説を立て、その検証を行う。またPKM2のChIP-seqによりPKM2が制御する遺伝子を網羅的に明らかにし、AhR標的遺伝子との相関を調べる。
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Research Products
(2 results)