2012 Fiscal Year Annual Research Report
原始惑星系円盤の雪線より内側の領域における固体微粒子の形成進化過程の解明
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12J05870
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
石田 初美 東北大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | CV3炭素質コンドライト / 原始惑星系円盤 / 雪線 |
Research Abstract |
本研究では、雪線より内側に存在していたと考えられる隕石の中でも、特に、母天体上で熱や水による二次的な変成をほとんど受けていない始原的な隕石を研究することにより、(1)雪線以内の円盤領域における細粒物質の形成進化と相互付着過程(2)太陽系最古の高温物質であるCAI(calcium-aluminum rich inclusion)形成後、もう一つの高温物質であるコンドリュールが形成されるまでの空白の200万年における高温現象の頻度と強度分布という二つの項目に着目して研究を行っている。(1)に関しては、様々な円盤内の領域で異なる物理・化学過程を経て形成されたと考えられる組織の異なるマトリックスを鉱物学的かつ化学的に分類し、その後、各グループの詳細分析を行った。具体的には、集束イオンビームを用いて切り出した各マトリックスの切片を高エネルギー加速器研究機構にて放射光X線回折実験を行い、その後、マイクロトームで同試料の超薄切片を作成して透過型電子顕微鏡観察を行った。その結果、隕石中に含まれるマトリックスを大まかに三種類に分類することが出来た。(2)に関しては、これまでの詳細な組織観察により、年代測定可能な単体のコンドリュールやCAIに加え、形成年代がCAIとコンドリュール形成期間の間の年代を示すPRC(plagioclase-rich inclusion)という物質や、コンドリュールとCAIが複合した物質を発見することができた。これらの物質の酸素同位体比を求めるため、北海道大学設置の二次イオン質量分析計(ims-1270 SIMS)を用いて同位体測定を行ったところ、各々の酸素同位体の測定に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
東日本大震災以降、所属大学の二次イオン質量分析計が復旧しないため同位体分析が行えない状況だったが、他大学の装置を使用できることになったため、今後の進展に期待が持てる。
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Strategy for Future Research Activity |
現状、二次イオン質量分析計(SIMS)を用いた同位体分析のうち、酸素同位体の測定に成功している。今後は、同じくSIMSを用いた^<26>Al^<-26>Mg年代測定法によってPRCの形成年代を調べると共に、CAIや、CAIとコンドリュールの複合物などの希土類元素を測定する予定である。マトリックスに関しては、フランスにあるNano-SIMSを使用した1μm大サイズの微粒子の局所同位体分析を進めているが、こちらは粒子サイズの問題で個々の微粒子の測定には成功していないため、今後、分析手法の改善を行っていく予定である。
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