2013 Fiscal Year Annual Research Report
原始惑星系円盤の雪線より内側の領域における固体微粒子の形成進化過程の解明
Project/Area Number |
12J05870
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
石田 初美 東北大学, 大学院理学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | CV3炭素質コンドライト / コンドリュール / 酸素同位体 |
Research Abstract |
本研究では、雪線より内側に存在していたと考えられる隕石の中でも、特に、母天体上における二次変成の程度の低い始原的な隕石を研究することにより、1. 雪線以内の円盤領域における細粒物質の形成進化と相互付着過程、2. 太陽系最古の高温物質であるCAIs (calcium-aluminum rich inclusions)形成後、もう一つの高温物質であるコンドリュールが形成されるまでの空白の200万年における高温現象の頻度と強度分布という二つの項目に着目して研究を行つている。 昨年度は、主に2. の課題に関して研究を進めた。北海道大学創生研究機構所有の二次イオン質量分析計を用いて、様々な種類のコンドリュールの局所酸素同位体分析を行つた。測定したコンドリュールの内訳としては、Mgに富むTypeIコンドリュールが9個、Feに富むTypeIIコンドリュールが3個、斜長石に富むPlagioclase-richコンドリュールが2個である。結果、全てのコンドリュールの酸素同位体組成は、先行研究で報告されている、本研究で使用している隕石と同タイプの隕石中に見られるコンドリュールと同様の組成範囲にプロットされた。コンドリュールの化学組成に着目してみると、Mg-richなコンドリュールと比べてFe-richなコンドリュールの酸素同位体組成は^<16>Oに乏しくなつており、異なる星雲環境下で両者のコンドリュールが形成されたことを示唆している。また、形成年代が現在見つかっている物質の中で唯一CAIsとコンドリュールの間の形成年代を示すPlagioclase-richコンドリュールの酸素同位体組成を測定した結果、原始惑星系円盤内で複数の加熱を経験したことが示唆された。今後は、コンドリュールの形成年代及び原始惑星系円盤における高温現象の頻度と強度分布を調べるため、^<26>Al-^<26>Mgシステムによる年代測定と希土類元素の測定を行い、原始惑星系円盤内のコンドリュール形成イベントや星雲環境に制約を与えていきたいと考えている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
東日本大震災の影響で研究室所有の二次イオン質量分析計が未だに定常的に動いていないため、同位体分析に関しては他大学の装置を使用している状況である。ある程度のデータは出しているものの、マシンタイム等の問題で当初の計画以上の分析ができているとは言えず、上記のような評価となった。
|
Strategy for Future Research Activity |
昨年度と本年度の分析で酸素同位体分析に関してはある程度の目途がたったため、今後は、^<26>Al-^<26>Mgシステムによるコンドリュールの年代測定と希土類元素の測定を行う予定である。年代測定に関しては他大学の装置を使用することになっているが、希土類元素に関しては研究室所有の二次イオン質量分析計を用いる予定なので、装置の復旧作業を引き続き進めていく必要がある。
|
-
[Journal Article] Crystallization temperature determination of Itokawa particles by plagioclase thermometry with X-ray diffraction data obtained by a high-resolution synchrotron Gandlfi camera2014
Author(s)
Tanaka, M., Nakamura, T., Noguchi, T., Nakato, A., Ishida. H., Yada, T., Shirai, K., Fujiwara, A., Ishibashi, Y., Abe, M., Okada, T., Ueno, M., Mukai, T.
-
Journal Title
Meteoritics & Planetary Science
Volume: 49
Pages: 237-244
DOI
Peer Reviewed
-
[Journal Article] Mineral chemistry of MUSES-C Regio inferred from analysis of dust particles collected from the first-and second-touchdown sites on aster oid Itokawa2014
Author(s)
Nakamura, T., Nakato, A., Ishida, H., Wakita, S., Noguchi, T., M. E. Zolensky., Tanaka, M., Kimura, M., Tsuchiyama A., Ogami, T., Hashimoto, T., Konno, M., Uesugi, M., Yada, T., Shirai, K., Fujimura, A., Okazaki, R., S. A. Sandford., Ishibashi, Y., Abe, M., et al.
-
Journal Title
Meteoritics & Planetary Science
Volume: 49
Pages: 215-227
DOI
Peer Reviewed
-