2013 Fiscal Year Annual Research Report
有機分子の光活性化を経る二酸化炭素固定化反応の開発
Project/Area Number |
12J05885
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
島本 康宏 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 金属転位 / ベンゾスルタム / アミノ酸 / アゼチジノール / 不斉合成 / ロジウム / α-アミノケトン / 太陽光 |
Research Abstract |
本年度は本計画の途中で偶然発見したロジウムの1,5転位を経るアゼチジノールのベンゾスルタムへの骨格転位反応について検討した。金属転位反応は分子内で遷移金属が近傍に位置する水素と入れ替わる素過程であり、簡便な炭素一水素結合の活性化手法として着目されている。これまでに金属転位反応を素過程として含む様々な興味深い反応系が開発されているが、その形式は金属と水素の架橋部位が4原子の1,4金属転位にほとんど限られており、新たな反応系の開発のために、これまでとは異なる形式での金属転位反応の開発が望まれている。本研究では架橋部位を1原子伸ばした1,5金属転位反応を含む反応系を開発した。 窒素上にトシル基の置換したアゼチジノールに対し、[Rh(OH)cod]_2とra-DM-BINAPを触媒として加え、トルエン中で加熱撹拌したところベンゾスルタムが収率よく得られた。本反応系ではロジウム触媒によって本来安定とされる炭素-炭素および炭素-水素結合の切断を経て進行している。また、本反応をアミノ酸から誘導できる光学活性なアゼチジノールを用いて行うと、ジアステレオ選択的に反応が進行し、連続した2つの不斉点を有するアゼチジノールを光学純度良く得られることも見出した。ベンゾスルタム骨格はオキシカム系抗炎症薬の基本骨格であるが、本手法により複雑な骨格を有するベンゾスルタムの不斉合成が可能となった。 また、並行して太陽光とロジウム触媒によるα-アミノケトンのインドールへの変換反応についても検討した。本反応では様々な生理活性物質に見られる基本骨格であるインドール誘導体を入手容易なα-アミノケトンから得ることに成功している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は計画を変更し、主にロジウムの1,5転位を経るアゼチジノールのベンゾスルタムへの骨格転位反応について検討し、その成果をJ. Am. Chem. Soe誌に投稿することが出来た。しかし、当初予定していた二酸化炭素の固定化手法に関しての検討に関しては遅れており、やや遅れているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
ロジウムの1,5転位を経る系に関してはスルボニル基をカルボニル基へと変えることによりその合成化学的価値を高めていく。既に反応の進行は確認しており、配位子や温度、溶媒といった条件を検討することで収率を高めていく。また、二酸化炭素の固定化手法に関しては、アゼチジノールに遷移金属触媒を作用させた際に生じるアルキル金属種と二酸化炭素の反応を検討する。生じるアルキルロジウム種は不安定であることが予想されるため、配向基を利用した安定化効果についても検討する。
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Research Products
(2 results)