2012 Fiscal Year Annual Research Report
建築分野での利用に特化した屋外空間向け拡張現実感システムの開発
Project/Area Number |
12J05895
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
中林 拓馬 千葉大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | 拡張現実感 / 景観シミュレーション / 前後関係 / 汎用デジタルカメラ / RTK-GPS / 姿勢センサ / テンプレートマッチング |
Research Abstract |
研究計画として設定した5つのテーマのうち、特に3つのテーマについて取り組みを行った。以下にそれぞれの取り組みについて詳説する。 1現実空間の三次元形状の取得 拡張現実感において、現実空間の物体と仮想物との前後関係を正しく表現するためには、現実空間の三次元形状情報を取得する必要がある。本研究では、レーザースキャナなどの特殊な機材を利用することなく屋外空間の建造物の三次元形状を取得するため、汎用デジタルカメラで撮影した写真を用いる三次元形状復元技術を利用することとした。これにより得られた点群データをサーフェスモデル化し、システムに読み込むことで、景観シミュレーションを行う地点における前後関係が問題となり得る建造物と仮想物との前後関係を正しく表現することができた。 2仮想物の位置合わせの高精度化 拡張現実感を実現するためには、実空間内のカメラ位置と姿勢を正確に取得する必要がある。このため本研究では、RTK-GPSと加速度・角速度・磁気センサを複合した姿勢センサを用いた。これらのセンサには、計測値に含まれるノイズやドリフト誤差など、拡張現実感の没入感の妨げとなる問題があるため、これを解消するため、カメラ画像とセンサの値を利用して、静止状態判定、重力加速度による補正、テンプレートマッチングによる補正などの機能を実装した。加えて、センサの値をシステムに反映する際にローパスフィルタを適用することで、ノイズの低減を試みるなどし、拡張現実感の没入感向上に努めた。 3ARシステムの評価手法の整理と開発したシステムの評価 拡張現実感の実用性を評価するため、Webブラウザ上で動作するARインテリアシミュレータアプリケーションを開発し、アンケート調査を行った。本研究では、被験者に実際にアプリケーションを利用してもらい、拡張現実感表現における幾何単的整合性や光学的整合性、操作性などに関する評価を集めた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
仮想の実寸大建築物を自然に重畳するためのシステムを構築することを目的に、仮想物と実物の前後関係の表現や、カメラ位置・姿勢の取得精度の向上など、設定したいくつかの計画を達成することができたため、おおむね順調であると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後はより実用的なシステムの構築を目的として、デバイスの小型・軽量化やユーザインタフェースの改良に取り組むことを考えている。また同時に、システムの処理の軽量化や、より一般的な機材での手軽な利用が可能となるようなアルゴリズムの導入も検討する。 他方、構築したシステムを利用し、建築分野での拡張現実感利用に関する知見の集積を行い、これを取りまとめたいと考えている。
|
Research Products
(12 results)