2013 Fiscal Year Annual Research Report
歯の損傷後の歯髄治癒過程における象牙芽細胞分化機構の解明
Project/Area Number |
12J05934
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
斎藤 浩太郎 新潟大学, 医歯学系, 特別研究員(PD)
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Keywords | オステオポンチン / 修復象牙質 / 象牙芽細胞 / 歯の損傷 / I型コラーゲン / インテグリン / 窩洞形成 / マウス |
Research Abstract |
本年度では、歯の損傷後の歯髄治癒過程におけるOPNの役割を解明することを目的として、B6Jおよび(オステオポンチン)Opn遺伝子欠損マウスを用いた窩洞形成実験系を利用し、組織学的解析を行った。B6JおよびOpn遺伝子欠損マウスにおいて、術後1日では、窩洞直下の象牙芽細胞に変性像が認められ、ネスチン陽性反応が消失していたが、一方、髄床底側の象牙芽細胞はネスチン陽性反応を維持していた。術後3日にはネスチン陽性の新たに分化したと思われる象牙芽細胞が歯髄・象牙質界面に配列していた。B6Jマウスでは、窩洞直下の歯髄細胞にOpnを強く発現する細胞が認められ、石灰化前線にOPN陽性反応が認められた。術後14日では、窩洞直下に修復象牙質形成が、髄床底側に反応象牙質形成が認められ、新たに分化した象牙芽細胞にDspp, col1a1の発現、DSPP, I型コラーゲン, インテグリンα_vβ_3陽性反応が認められた。一方、Opn遺伝子欠損マウスでは、術後14日において、窩洞直下で修復象牙質形成が阻害されており、新たに分化した象牙芽細胞に、Dspp, DSP, インテグリンα_vβ_3の発現が認められるものの、I型コラーゲン、col1a1の発現が認められなかった。以上より、歯の窩洞形成後の歯髄治癒過程において、石灰化前線へのOPNの沈着が、新たに分化した象牙芽細胞様細胞のI型コラーゲン形成、すなわち修復象牙質形成に必須の因子であることが明らかになった。歯髄再生療法の開発を目指す上で重要な科学的基盤となるのが歯髄の生物学的特性の理解であるが、上記の成果は歯の損傷後の修復象牙質形成機構の解明に大きく寄与するものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度では、歯の窩洞形成後の修復象牙質形成過程におけるOPNの役割について解析を行った。興味深いことに、Opn遺伝子欠損マウスでは、反応象牙質形成は阻害されず修復象牙質形成のみが阻害された。これらの知見は歯の損傷後の修復象牙質形成機構の解明へ向けて大きく前進させることが期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
Opn遺伝子欠損マウスにおいて、歯の窩洞形成後の修復象牙質形成が阻害されることを明らかにしたが、B6JマウスにおいてOpnを分泌する細胞の特定はまだ不十分である。今後は、透過型電子顕微鏡を用いた観察などにより、歯の損傷後の修復象牙質形成過程におけるOPN分泌細胞の特定に着手する。また、象牙質・歯髄複合体の器官培養系を用い、OPNのI型コラーゲン形成の促進効果について多角的な解析を行う。
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Research Products
(5 results)