2012 Fiscal Year Annual Research Report
DNA修復欠損DT40細胞を用いた抗がん剤の作用機序解明
Project/Area Number |
12J05986
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
西原 佳那 京都大学, 医学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | DT40 / スクリーニング |
Research Abstract |
毎年1000種類以上の化学物質が新たに市場に出ている。しかし、有害化学物質を検出するための有効な手法は存在していない。現在、薬物の毒性評価に用いられている手法(Amesテスト、小核テスト)では偽陽性が50%近くになることが大きな問題である。このため、より特異性の高い有害化学物質検出法の新たな開発が急務である。我々は、新たな有害化学物質検出法を開発することを目的に米国NIH(National Institute of Health)、NCGC(National Chemical Genomic Center)と共同研究を行っている。 我々は、共同研究の第一段階として1,400種類の化学物質から構成されるPhaseI化学物質ライブラリーを使用した実験を行い、論文を発表した(Yamamoto et al,. 2011)。現在、私は米国NCGCに留学し、共同研究の第二段階として12,000種類の化学物質からなるPhaseIIライブラリーを使った実験を行っている。我々はこれまでにPhaseIIライブラリーを用いた一次スクリーニングを行い、データを統計的に解析した結果、約150種類の化学物質が毒性をもつことが示唆された。次の段階として、毒性を持つことが示唆された約150種類の化学物質の毒性を確実な手法で確認する必要がある。このために我々は、以下の三つの実験を実施する。1)細胞の化学物質への暴露時間を延長し、細胞生存率を比較する、2)DNA損傷時に誘導されるγH2AXを顕微鏡下で確認、3)染色体断裂を確認。申請者は、1)に挙げた試験を行うための実験条件の設定をこれまでに行い、最適な実験条件を見つけることに成功した。今後、一次スクリーニングの結果選ばれた約150種類の薬剤について妥当性試験をおこない、我々の開発した毒性試験の妥当性を評価する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
12000種類からなる化学物質ライブラリーの一次スクリーニングが終了し、結果を統計的に解析した。一次スクリーニングの結果を検討するための、妥当性試験に必要な実験条件の設定も完了した。予定通りに研究は進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに我々が行った一次スクリーニングの妥当性を検証するために、一次スクリーニングの結果、細胞毒性を持つことが示唆された薬剤を用いて以下の三つの実験を行う。1)細胞の化学物質への暴露時間を40時間から72時間に延長し、細胞生存率を比較する、2)DNA損傷時に誘導されるγH2AXを顕微鏡下で確認、3)染色体断裂を確認。これらの実験は、申請者が留学先であるアメリカNIH-NCGCにて行う。
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Research Products
(1 results)