2012 Fiscal Year Annual Research Report
デジタル岩石を用いた間隙流体挙動と弾性特性の関係解明によるモニタリング手法の開発
Project/Area Number |
12J06048
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山邉 浩立 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 二酸化炭素 / 二酸化炭素地下貯留 / 地球温暖化 / 弾性波 / 弾性波速度 / 貯留量評価 / 格子ボルツマン法 |
Research Abstract |
より安全な二酸化炭素地下貯留実現のため,CO2の挙動モニタリングは非常に重要な技術であり,より正確なモニタリング技術を確立するためには岩石間隙中のCO2の分布とモニタリングで用いられる弾性波速度との関係を明確にすることが必要である. 当該年度はまず,流体挙動への理解を深めるため,3次元多相格子ボルツマンモデルによるシミュレーションコードを構築し,水/CO2系の流動シミュレーションを可能とした.これを岩石モデル(粒子充填モデル)に適用し,CO2圧入シミュレーションをおこなった.CO2圧入シミュレーションにより,各計算時刻におけるCO2・水・固相の分布情報を得ることが可能となる.この固体・流体相分布に均質化法を適用することで,CO2圧入に伴う弾性波速度の変化を評価することに成功した. 既往の研究から,間隙中に多相流体が混在する場合,P波速度は各流体相の飽和度のみならず分布にも影響を受けることが知られており,この現象がP波速度から岩石中のCO2量を正確に推定することを困難にしている.そこで本研究では,CO2圧入条件を変化させてケーススタディをおこなった.この成果として,CO2圧入による岩石中の各流体相分布はキャピラリ数(粘性力と毛管力の比を示す無次元数)に影響されることが確認された.キャピラリ数が大きい場合,CO2はより均質飽和(CO2が各間隙に普遍的に分布)に近い状態となり,反対にキャピラリ数が小さい場合にはCO2はより部分飽和(CO2が偏在)に近くなる-また均質化法により得られた結果から,各ケースにおいて,P波速度とCO2飽和度の関係は明確に異なっていることも確認された.以上の成果は,キャピラリ数及びP波速度を用いることで,CO2飽和度をより推定できる可能性を示唆している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
3次元多相系格子ボルツマンシミュレーション及び均質化法を用い,P波速度とCO2飽和度の関係を明確にすることが当該年度の計画であった.しかしながら当該年度は,キャピラリ数がCO2分布に影響を与えることを確認した上で,このCO2分布がP波速度に与える影響まで考慮することができた.これは研究計画以上の進展である.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,デジタル岩石を用いて同様のシミュレーションをおこない,実際の岩石に同じ手法が適用可能であることを示す.デジタル岩石モデルを作成するにあたってはマイクロフォーカスX線CTを用いた後,画像解析をおこなうことが必要となる.現在X線CTデータは既に取得しているが,画像解析は様々な技術が必要となるため,スタンフォード大学のGary Mavko教授のもとで共同研究をおこない,この技術を習得しデジタル岩石モデルを作成する予定である.また,モニタリングでは弾性波のみならず電気探査も用いられる.このため今後は電気比抵抗も同様に計算し,CO2飽和度・分布と比抵抗の関係を明確にしていく予定である.
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Research Products
(4 results)