2013 Fiscal Year Annual Research Report
デジタル岩石を用いた間隙流体挙動と弾性特性の関係解明によるモニタリング手法の開発
Project/Area Number |
12J06048
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山邉 浩立 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 二酸化炭素地中貯留 / モニタリング / デジタル岩石 / 多孔質媒体 / 多相流 / 地震波速度 / 有限差分法 / 波動シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度においては、3次元多相格子ボルツマンモデルに基づき開発したシミュレーションコードを、優良な石油貯留岩として知られるベレア砂岩より得られたデジタル岩石に適用した。デジタル岩石とは、岩石サンプルをマイクロフォーカスX線CTによりスキャンすることで詳細な岩石の間隙構造を再現したものである。当該研究に用いたデジタル岩石は、Imperial College Londonが公開しているものを用いている。格子ボルツマンシミュレーションにより、水飽和なべレア砂岩中に超臨界二酸化炭素を圧入した際の水/二酸化炭素の流れ、また流体相・固体相の分布を得ることに成功した。 更に、上記の計算から得られた流体相・固体相分布に対し波動シミュレーションをおこなうことで、CO2圧入に伴う波動伝播速度の変化を計算することに成功した。前年度では、地震波速度評価手法として均質化法を用いた静的な弾性パラメータ評価を行っていたが、この手法では周波数依存性といった動的な性質を評価することできないため、動的な波動シミュレーションを行うこととした。当該年度においては、有限差分法を用いた波動シミュレーションコードを開発し、地震波速度評価を試みた。しかしながら、一般的に用いられるスタガード格子差分では、媒体中の強い不均質性に伴う数値誤差の影響によりその評価が難しいため、これを改良した回転スタガード格子を用い、その評価に成功した。 以上のプロセスにより計算可能となったP波速度は、前年度に均質化法により推定したP波速度に比べ、実際に一定の周波数を考慮するためより現実的なものとなる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当該年度は、前年度用いた均質化法ではなく、新たにRotated Staggered Gridと呼ばれるアルゴリズムを導入した波動シミュレーションを行なうことでP波速度を計算することに成功した。これにより、より現実的な対象を考慮することが可能となった。更に、多孔質媒体中の流体挙動は動的な波動の周波数に強く依存するため、モニタリング精度向上に関する議論をより深く行うことが可能となった。 また、岩石の詳細な間隙構造を再現したデジタル岩石を用いてシミュレーションを行なうことで、前年度の岩石モデルよりも現実的な計算を行なうことにも成功した。これは当該年度の研究計画と比較しても期待以上の進展である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の展望として、計算領域の拡大及び計算速度の向上をおこなっていく予定である。現状では200×200×200のグリッドサイズでシミュレーションをおこなっているが、このサイズでは岩石の間隙構造の代表要素体積(Representative Elementary Volume; REV)の観点では十分とは言えない。今後はシミュレーションコードの最適化・並列化をおこなっていくことで計算領域を増やし、十分なグリッドサイズで計算をおこなっていく。またその上で温度・圧力条件や圧入条件を変化させ、様々な条件でのシミュレーションをおこない、各条件が流れやP波速度へ及ぼす影響も考慮していく予定である。
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Research Products
(1 results)