2012 Fiscal Year Annual Research Report
銅触媒を用いたC-Hアミノ化反応を基盤とする新規複素環骨格構築法の開発と応用
Project/Area Number |
12J06069
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
時水 勇輔 京都大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | C-Hアミノ化 / 含窒素複素環骨格 / アミジン / 銅 / 超原子化ヨウ素 / イナミド / Communesin / 金 |
Research Abstract |
C-H官能基化は、以前まで不活性とされてきたC-H結合を反応に用いる原子効率の高い反応である。報告者は以前に超原子化ヨウ素試薬を用いた新規キナゾリン合成法を報告しているが、本反応は中間体として金属ナイトレニドが発生している可能性が高い。金属ナイトレニドはC-H挿入型アミノ化反応を引き起こす性質を有することが知られているため、この性質を利用してアミジンを用いたC-Hアミノ化反応による新規複素環骨格構築法の開発を行うこととした。種々のN-アリールベンズアミジンを用いて反応を検討し、(a)アニリン側のベンゼン環上のメチル基とのsp3 C-Hアミノ化反応、(b)ベンズアミジン上のメチル基とのsp3C-Hアミノ化反応、(c)sp2 C-Hアミノ化反応によるアミジンの重合反応、の3つの型のC-Hアミノ化反応が進行することを明らかにした。しかしながら、それぞれの反応において種々の条件の検討を行ったが、反応収率を向上させることはできなかった。そこで私は、2級アミドに超原子価ヨウ素を加えるとイナミドが生成するというこれまでに得た知見を基に、イナミドを用いた新規骨格構築反応の開発に移ることとした。 Communesinは、海生菌類Penicillium sp.株から単離された8つの縮間構造をもつインドールアルカロイドである。これまでに4つの全合成例が報告されているが、それらはいずれも縮環部位を順次構築するものであり合成経路に改善の余地がある。今回報告者は、分子内にアジド基を有するイナミドを用いれば、CommunesinのD環E環部分を一挙に構築できるのではないかと考え、本反応の開発に着手した。反応条件の検討の結果、1mol%の金触媒存在下、ニトロメタン溶媒中、イナミドを室温で30分撹拌すると、目的の縮環化合物が94%収率で得られた。現在は本反応の基質一般性を検討中の段階である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、アミジンを用いた新規C-H官能基化反応の検討を行った。その結果、アミジン窒素原子は高い反応性を有し、様々な部位とC-H官能基化反応を引き起こすということが明らかとなった。 続いて、過去に得られた知見を踏まえ、イナミドを用いた新規骨格構築反応の開発を行った。現在、基質一般性の検討の段階である。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、ドイツのハイデルベルク大学でHashmi教授の下、金触媒反応について研鑽を積んでいる。半年間の留学後、当研究室で得られた知識を基に、開発中の反応の反応機構についての考察を行い、速やかに論文にまとめる予定である。
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