2013 Fiscal Year Annual Research Report
銅触媒を用いたC-Hアミノ化反応を基盤とする新規複素環骨格構築法の開発と応用
Project/Area Number |
12J06069
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
時水 勇輔 京都大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | イナミド / 金触媒 / アジド / インドール / アルキン / ピロール / 金カルベノイド / 含窒素複素環骨格 |
Research Abstract |
本特別研究員は、これまで銅触媒を用いたC-Hアミノ化反応を検討してきたが、その過程においてイナミドを温和な条件で合成する手法を見出した。そこで、その手法により合成したイナミF'を用いて、新規複素環骨格構築反応を開発することを計画した。検討の結果、金触媒を用いたアジドイナミドのカスケード型環化反応を開発し、効率的にインドロキノリン誘導体を合成することに成功した。本反応は、イナミドへのアジドの環化反応が進行している点、中間体としてアミジン型の金カルベノイドを経由している点、金カルベノイドへの求核剤としてアリルシランを用いた点で新規性が高い。またインドロキノリン骨格はcommunesin等の天然物に見られる骨格であるため、本反応の潜在的な有用性も期待できる。 本研究員は2013年3月から8月の半年間、ドイツのHeidelberg大学のHashmi教授の下で共同研究行った。Hashmi教授らは、これまでにフェノール合成やgem-gold錯体の開発において金触媒化学研究をリードしている。この錯体は既存のgold錯体とは異なる反応性を示し、従来求電子剤として用いられてきたアルキンを求核剤として活性化できることが知られている。本研究員はその錯体の合成法・取扱い・反応性について学び、その錯体を用いた新規骨格構築反応の開発に携わった。また、得られた知見を自身が得意とするイナミドを用いた複素環骨格構築反応へと応用し、本錯体を用いて複素環骨格を一挙に構築する反応の計画及び検討も行った。その結果、イナミドを用いた縮環ピロール合成反応を開発し、Hashmi教授らにより見出されたgem-gold錯体が、炭素環骨格のみならず複素環骨格の効率的構築反応の触媒としても使用できることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
海外渡航期間中において、当初予定になかった縮環ピロール合成反応の計画および検討を行い、イナミドを用いた新規複素環骨格構築反応の開発に成功したため。
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Strategy for Future Research Activity |
海外渡航期間中において開発したイナミドを用いた縮環ピロール合成反応の更なる検討を行い、学術誌に投稿する予定である。その後、これまでの検討で得られたイナミドに関する知識と、渡航期間中に得られた金触媒に関する知識を用いて、イナミドと金触媒を用いた新規反応の開発に挑戦する予定である。
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Research Products
(3 results)