2012 Fiscal Year Annual Research Report
高等植物における分泌型ペプチドの器官間・細胞間移行の解析
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12J06127
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Research Institution | National Institute for Basic Biology |
Principal Investigator |
岡本 暁 基礎生物学研究所, 細胞間シグナル研究部門, 特別研究員(PD)
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Keywords | 分泌型ペプチド / 遠距離シグナル伝達 / 導管液 / ダイズ |
Research Abstract |
本研究では導管を介して根から地上部へ遠距離移行する低分子のタンパクおよびペプチドに焦点を当て、それらの網羅的な探索および機能解析を行うことを計画している。そこで本年度はまず、導管液に含まれる低分子タンパクおよびペプチドの精製方法・検出方法の検討を行った。次に検討・改良した方法を用いて低窒素および高窒素条件で育てたダイズから採取した導管液を精製し、質量分析を行った。その結果344種の低分子タンパクおよびペプチド配列を検出した。また、このうちの94種は分泌シグナルが予想された。データベース解析により、その中には植物の全身的な病害応答に関わることが明らかにされているLipid transfer proteinの一種とホモロジーを持つものが含まれることを明らかにした。その一方で、機能未知のタンパクも多く含まれていた。 また、上記の研究と並行して、根粒形成の全身的制御に関わるミヤコグサCLE-RS2ペプチドの根からシュートへの遠距離移行についても検証した。ミヤコグサは導管液を採取することが困難であったため、同じマメ科で導管液を採取し易いダイズを用いることにした。毛状根形質転換法を用いてダイズの根でミヤコグサCLE-RS2を発現させ、ダイズのシュートから採取した導管液の質量分析を行った。その結果、導管液からはCLE-RS2ペプチドの存在を示すピークが検出された。このことから本研究ではCLE-RS2ペプチドは根からシュートへ遠距離移行すると結論付けた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通りに試料の精製方法やMS解析などの実験条件の検討ができた。また、検討した条件に基づいて導管液の網羅的な解析を行なったところ、多数の低分子タンパクやペプチドを同定することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では今後、採取する導管液の量を増やして導管液の網羅的な解析を行う。また、同定された低分子タンパクやペプチドについて発現解析などを行い、根から地上部へ遠距離移行する可能性の高いものを絞り込む。さらに絞り込んだ候補因子について遠距離移行の検証や機能解析を行いたい。また、ミヤコグサ CLE-RS2ペプチドに関する研究については、結果をまとめ論文を投稿する予定である。
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Research Products
(1 results)