2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12J06140
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
甲田 優太 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | リビングラジカル重合 / 精密重合 / 星型ポリマー / ミクロゲル / フルオラス / 分子捕獲 / 運動性 |
Research Abstract |
(1)フッ素集積ミクロゲル核星形ポリマー:合成・評価・分子認識これまでに申請者は、リビングラジカル重合により、フッ素多置換アルキル側鎖(-C6F13)を有するメタクリレートモノマーを用いて核にフッ素を濃縮した星型ポリマーを合成してきた。本星型ポリマーは、その集積されたフッ素によりフルオラス性を発現し、有機溶媒中、親水性や疎水性ゲスト分子存在下、フルオラス性の多置換フッ素化合物を選択的に捕捉することに成功している。 そこでH24年度は、フッ素多置換アルキル側鎖(-CnF2n+1)の長さの異なるモノマー(4種)を用いてそれぞれ星型ポリマーを合成し、その分子捕獲能の違いについて調べた。さらに、核内フッ素原子を19FNMRのプローブとして利用して、核内の運動性を解析すると共に、分子捕獲能との関連性についても詳細に調べた。 [合成]リビングラジカル重合により各種多置換フッ素アルキル側鎖メタクリレートモノマーを用いてフッ素集積ミクロゲル核星型ポリマーを合成した。光散乱測定により分子量399400-2000000、枝数19-86本、回転半径13-23nm、核内フッ素原子数2800-14800個であることがわかった。 [評価]19FNMRによりフッ素集積星型ポリマーをT2測定した。星型ポリマー核内フッ素のT2値は、その他の高分子(ブロック、ランダム)と比べ小さくなり、運動性が低下していることがわかった。また、多置換フッ素アルキル側鎖(-CnF2n+1)の炭素数が大きくなるほど運動性が低下し、多置換フッ素アルキル側鎖同士がより強く相互作用していることがわかった。 [分子認識]星型ポリマーは、DMF中、ブロックポリマーやランダムポリマーと比べ、最も効率よくパーフルオロアルキル誘導体を捕獲した。また、多置換フッ素アルキル側鎖が長くなるほど分子捕獲能が向上した。 以上より、星型ポリマーの核にパーフルオロアルキル基を架橋・集積化すると、運動性の小さい安定なフルオラス空間を構築でき、分子認識能が向上することを初めて見出した。 (2)親水性フッ素集積ミクロゲル核星型ポリマーの合成水中でのパーフルオロ化合物の補足を見据え、親水性ポリエチレングリコール(PEG)鎖を枝ポリマーとする親水性フッ素集積ミクロゲル核星形ポリマーも合成した。さらに、フッ素モノマーと同時にイオン基を側鎖に有するモノマーを共重合させることにより、フッ素とイオンを共に集積化した星型ポリマーも合成できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究過程では合成、測定・解析の両面において多くの困難に直面したが、系統的に反応条件や測定条件を模索することで分子認識能を発現し、これまで困難であったミクロゲル核内の運動性の評価にも成功するばかりでなく、運動性と分子認識能の相関についても解明した。さらに、親水性のフッ素集積星型ポリマーの合成に加えてフッ素とイオンの2つの機能基を同一空間に濃締した星型ポリマーの合成も達成し、当初の計画以上の成果を得たと判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
親水性フッ素集積星型ポリマーの評価・分子認識親水性星型ポリマーを用いて水中でのパーフルオロ化合物の取り込みを検討し、各種NMRやUV-visにより捕獲・放出挙動(分子認識)を評価する。 フッ素集積星型ポリマーを用いた触媒機能フッ素集積星型ポリマーの分子捕獲能を利用してフルオラス性リガンドを有する金属錯体を星型ポリマーの核内に担持し、有機反応(酸化・還元反応、クロスカップリング反応)や重合反応を検討する。特に、分子捕獲能を利用した高活性かつ高選択的な触媒反応の開発を目指す。
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Research Products
(4 results)